カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

カテゴリ: カレー作りのノウハウあれこれ

雑誌掲載をもう一つ。

ポップな佇まいの中に、マニアックなノリを随所に散りばめた、最近では珍しいタイプの雑誌、それが『RICE』だ。
今回のカレー特集、登場するのがこれでもかと知り合いばかり。結果、濃厚なモノができそうだが、予想は見事に当たった感じ。

rice 2022 july cover

これが表紙。

私が登場するのは「CURRY REVIEW 2022」というコーナー。その中でカレーやインド料理系のおすすめYouTubeを紹介するページがあり、私の「スパイス・チャンネル SPICE CHANNEL」というYouTubeがリコメンドされているのだ。 

「スパイス・チャンネル SPICE CHANNEL」は、私がインドスパイス料理の有名なアイテムを毎回ピックアップ、自ら調理して完成させるプロセスを活写した動画をメインとしたチャンネル。
実は、日本を代表するシタール奏者ヨシダダイキチさんとマネージャーである田平女史の手によって、すべての動画が制作配信されており、例えば各プログラムのバックで流れる音楽は、すべてこのチャンネルのためにダイキチさんがつくり、レコーディングしたオリジナル。実にぜいたくな番組なのだ。

パーキンソン病の症状が随所で見られ、自分では不本意なところもあるものの、少なくとも、直接私の調理を体験していない皆さん、私の料理や「サザンスパイス」料理教室に興味をお持ちの方々には、絶対役に立つチャンネルだと自負している。

rice 2022 july spice channel 2
右下が「スパイス・チャンネル SPICE CHANNEL」の紹介記事。

今回のような機会を与えてくれた関係各位に感謝!

《このブログを書いているときのBGM》
CHRIS SPEDDING『HURT!』(1977年)
大好きなギタリストのひとり。ソロアルバムでは、これが一番好きだ。

★「サザンスパイス」新公式サイトはコチラ(料理教室の予約もこのサイトからどうぞ)

★YouTube「スパイスチャンネル」も要チェック!

★アジアン料理ユニット『ヤミーズディッシュ』のブログ

 ビリヤニとプラオ、インド料理を代表する2つのご飯メニューの決定的な違いとは何か?

 かんたんそうだが、実はなかなか正解にたどり着けない、かなりの難問だという気がする。

 ここ30年以上もの間、私がインド人シェフや料理関係者、うるさ型のインド人グルメなどから聞いた話を総合すると、ビリヤニをビリヤニたらしめる、そしてプラオと区別するための重要なファクターとして、以下のようなことが挙げられるのに気づいた。

①一部のご当地米使用を除き、原則バスマティライス必須
②調理法はカレーあるいはスパイシーな食材の加熱集積と「湯取り法」でかたゆでしたコメの重ね蒸し、つまりは「ダム」スタイルがメイン。さらには、非加熱素材とかたゆでバスマティライスの重ね蒸しというトリッキーなハイデラバードのカッチ・ビリヤニ、あるいはナマゴメをカレーに入れ、いっしょに炊く「ボイルド・ビリヤニ」もあるし、加熱済み具材とほぼ炊けたライスを混ぜるものもある。
③(ビリヤニには)サフランが入っているのがふつう。
④ミントリーフもビリヤニに必須。
⑤ギーをうまく使うと(ビリヤニは)おいしい。
⑥ビリヤニはそれだけ、おかずなしでもおいしく食べられる。プラオは、カレーやおかずが別につかないと物足りない。
⑦婚礼新築などハレの日に食べるのがビリヤニ。プラオはよりカジュアル。
⑧ビリヤニの方が肉量多い。
⑨ビリヤニの方が使用するスパイスの種類、量が断然多い。
⑩コストや手間、食材の質など、ビリヤニはプラオより数段上。
⑪調味にホール・スパイスのみ使うのはプラオ。パウダー・スパイスも加え、より複雑で奥深い調理をするのがビリヤニ。

 これらを見れば、ビリヤニとプラオの立ち位置の違い、あるいはビリヤニ調理の際大事な食材は何か、といったことがそれなりに理解できる気がする。

 技術的におもしろいと思ったのは⑪。
 なるほど、北インドのイスラーム系あるいはパキスタンのビリヤニをチェックすると、この見解に合致する。が、南インドでは、私の知る限りハイデラバードなどに「プラオ」と名乗りつつ、実際はビリヤニというケースがある。惜しい。

 概観しても、ビリヤニとプラオの境界線をあいまいにしている存在の一つが、「ボイルド・ビリヤニ」であるのは間違いないだろう。日本のビリヤニファンに叩かれるのも、たいていこのスタイルだ。
 
 というわけで、次回ようやく「ボイルド・ビリヤニ」と「プラオ」の境界線について書いてみたい。

paradise 160918 lunch chicken biryani  one portion















 ハイデラバードの名店「パラダイス」のチキン・ダム・ビリヤニ。

《このブログを書いているときのBGM》
JESSE ED DAVIS『ULILU』(1972)
 オールジャンルのギタリスト中、最も好きな人のひとり。私のメインギターがテレキャスなのも、この人の影響大。このセカンドソロは捨て曲なし、Drジョン、ジム・ケルトナーほか名うてのバック陣勢ぞろい、切れ味鋭いスライド随所で爆発、ということでいうことなし。

https://www.youtube.com/watch?v=weTO1qBoggU


★「サザンスパイス」新公式サイトはコチラ(料理教室の予約もこのサイトでどうぞ)

★YouTube「スパイスチャンネル」も要チェック!

★アジアン料理ユニット『ヤミーズディッシュ』のブログ


 ひさしぶりに、ちょっと専門的な話。

 今も昔も、日本のインド料理ファンの頭を悩ませる難問の1つに「ビリヤニとプラオの違いはどこにあるか」というのがある。

 ビリヤニとプラオは、どちらも、インド亜大陸ならではのスパイシーな「炊き込みご飯」だ。

 ビリヤニの多くは「重ね蒸し」という手法で調理される。幅広な大鍋にカレーを敷き詰め、上からパスタのようにかたゆでしたバスマティライスをかぶせ、密閉して蒸し上げる。「ダム・ビリヤニ」というのがこれで、日本で食べられるビリヤニの多くが、このスタイルをとっている。 
 
 プラオは、バスマティライス以外も含め、いろいろなコメでつくられる。調理法も、洗った生米をスパイスやハーブ、ときに具材の肉や野菜とともにボイルして仕上げる。日本の炊き込みご飯と同じやり方だ。

 これだとビリヤニとプラオはまったく違うとすぐに気づくが、ビリヤニの中には、プラオと同じくナマゴメからボイルして仕上げるものがあり、これが話をややこしくする。「ボイルド・ビリヤニ」と呼ばれるものだが、プラオにもまったく同じ調理法、ほとんど同じ味わいのものがあるのだ。

 プラオに繋がるあいまいさのある「ボイルド・ビリヤニ」は、日本であまり人気がない。インターネット上で、「ボイルド・ビリヤニ」はビリヤニではない、と断言している人たちもいる。

 私はどうかといえば、「ボイルド・ビリヤニ」擁護派である。
 ビリヤニ全体が同じ色味で「ビリヤニらしくない」見た目の「ボイルド・ビリヤニ」だが、ライスの一粒ずつにスパイシーな風味が浸み込んで「ダム・ビリヤニ」とはちょっと異なるおいしさなのだ。

 それでは、同じ素材で同じ「炊き込み」ご飯をつくっても、「ボイルド・ビリヤニ」と「プラオ」に分かれる要因は何か?

 それは次回、書くことにする。

150923 THALAPPAKATTI chicken  biryani

















 南インド、タミルの「ディンディガル・タラパッカティ・チキン・ビリヤニ」。
 「ボイルド・ビリヤニ」の傑作。私の「インド食い倒れツアー」でも、チェンナイに行くと、この店に立ち寄ることが多い。

《このブログを書いているときのBGM》
JOHNNY  THUNDERS『SO  ALONE』(1978年)
1991年4月23日にニューオリンズで亡くなったジョニー。
今でも大好きだ。

https://www.youtube.com/watch?v=YgsC5aDDAew


★「サザンスパイス」新公式サイトはコチラ(料理教室の予約もこのサイトでどうぞ)

★YouTube「スパイスチャンネル」も要チェック!

★アジアン料理ユニット『ヤミーズディッシュ』のブログ




dancyu 2021 1

 













 今月初め、すでに書店やコンビニに並んだので「もう見たよ」という方も少なくないだろうが、グルメ系食関連雑誌の大御所「ダンチュウdancyu」が創刊30周年を迎えた。おめでとうございます!
 30年間で7077のレシピを掲載したとのことで、「レシピ登場回数ランキング」も発表されている。料理人の部では、カレー関係としてナイルレストランの三代目ナイル善己さんが堂々6回の掲載でランクイン。
 料理研究家・作家などの部では、水野仁輔さんが9回掲載でさすが。私といえば7回登場したらしく、これまたしっかりランクインしていた。
 カレー関係のランクインは互いによく知る3人だけだが(3人もという評価も多いようだ)、カレー特集自体大人気なようで、これまで25回やっている。特集としてナンバーワンの回数だ。年に一度はカレー特集という感じ、それでもも毎号飽きさせないのはスゴイし、「カレー」の持つ国民食的魅力の奥深さ、根強さにも圧倒される。
 ここ2年ほど「スパイスカレー」がダンチュウカレー特集のコアになっている。日本でいち早く「スパイスカレー」という語を書名に入れた本を出した私だが(『旬のかんたんスパイ夢(アスペクト刊)』。2019年、大幅に加筆し,『カレー&スパイス伝道師がおしえる 四季の食材でつくる スパイスカレー入門 』(スタンダーズ)として復刊した)、昨今の関西発スパイスカレーには期待に応えてくれる店が少なく、拍子抜けした。スパイスカレーの現在
そして未来について、ぜひ今後も追いかけていただきたい。

《このブログを書いているときのBGM》 
ゆらゆら帝国『ミーのカー』(1999年)
 大好きなバンドの1つ。
https://www.youtube.com/watch?v=N1G6ig_mUcg


★「サザンスパイス」新公式サイトはコチラ

★個人サイト『誰も知らないインドカレー』から「サザンスパイス」レッスンスケジュールや参加申込み可能!





★アジアン料理ユニット『ヤミーズディッシュ』のブログ
https://yummysdish.exblog.jp

 

 本日、毎日新聞夕刊の「特集ワイド」に「スパイスカレーが来ている! 多様性求め、猛暑も後押し?」という記事が掲載され、私も登場する。

 掲載内容の一部はこちらで閲覧可能
 私おすすめのチキンカレーのレシピもついている。

 詳細は別途お知らせするが、興味のある方はぜひ本紙をご覧いただきたい。


《このブログを書いているときのBGM》
DEEP PURPLE『COME TASTE THE BAND』(1975年)
4日が命日のトミー・ポーリンが一躍、評判を地に落としたアルバム。しかし、私は大好きだ。
https://www.youtube.com/watch?v=F0F5_fKBTHU
 ケビン・シャーレーのリミックスは正規盤以上にヘビーかつファンキー。トミー・ポーリンのスライドを交えたプレイもアルバム全編カッコイイ。

★「サザンスパイス」新公式サイトはコチラ

★個人サイト『誰も知らないインドカレー』から「サザンスパイス」レッスンスケジュールや参加申込み可能!





★アジアン料理ユニット『ヤミーズディッシュ』のブログ
https://yummysdish.exblog.jp

↑このページのトップヘ