ビギナーからプロまで老若男女問わず、エスニックなカレーあるいはインド料理が好き、さらにはスパイスに興味ありという方々が、日本全国はもちろん、世界のあちこちから集まってくる。そうした皆さんすべての方々に満足してお帰りいただきたい。そのためのファーストステップが、このスケジュールである。

　今月も自分なりに皆さんのお役に立つ企画を用意したつもりだ。少しだけ紹介しよう。

　拙著『カレーな薬膳』（晶文社刊）、『新版　誰も知らないインド料理』(光文社　知恵の森文庫)などにも書いたが、南インド料理で最も薬膳的というか、健康増進効果の高いと思われるメニューの１つがスープカレーの「ラッサム」である。ニンニクとブラック・ペパーを利かせているのがふつうで、さらにタマリンドやトマト、レモンの酸味、トウガラシとコショウ双方による辛味などがフィーチュアされる。

　今月１５日には「ラッサム」５種の食べ比べレッスンを行うほか、連日、なるべくラッサムを召し上がっていただく機会をつくる予定でいる。毎日ラッサムを口にしていれば、新型コロナも怖くない。

　食べ比べで思い出した。２８日、「キーマ」カレーの食べ比べを行う。北インドからパンジャーブ料理とムガル料理、南インドではタミルとハイデラバードのレシピをそれぞれ披露する。中でもハイデラバードはマトン・キーマ、それもトマトを使わずヨーグルトとココナッツで仕上げる。伝統あるニザムスタイルと呼ばれる宮廷料理だ。

　おいしいインドカレーを習得する際、まず「チキン・カレー」から、という方は多いだろう。私もそうだった。３５年ほど前の日本には、インド人の書いたインド料理レシピ本がほんの少しあるだけ。そのうちの一冊を買ってつくったが、全然うまくできなかった。
「よし、オレが生きている間に、もしもインドカレーのレシピ本をつくることができるなら、絶対、まず最初にチキン・カレーを載せることにしよう」
　なぜか、そう考えたことを今もときどき思い出したりする。プロとして修業の道に入るのはまだその後で、当時は珍しかった「エスニック料理の好きな若者」の勝手な熱情だった。

「そういえば、ベーシックなチキン・カレーのレシピ、最近レッスンしていないな」
　つい最近もそう思った。そこで今月１８と２７日、南インド、タミルのチキン・カレーをレッスンするとにした。また２５日には、同じようにベーシックな南インドのフィッシュ・カレーのレシピをレッスンする。いずれもビギナーの方はもちろん、ベテランやプロにも新たな発見があるかもしれず、おすすめだ。

「ラッサム」のように滋養に満ちた薬膳メニュー、そしてサザンスパイスのすべてのレッスンに登場すると断言できるターメリックをはじめとした各種スパイス、これらは新型コロナに対する防御策として有効なのではないか、と真顔で考える私だが、インド料理によく使われるショウガ、これもまた優れた新型コロナ対応策の１つに違いないとにらんでいる。
　２９日、新レシピによる「ジンジャー・チキン・カレー」をはじめとしたショウガ料理
の集中レッスンを行う。新型コロナ云々への有用性を差し引いても、美味で体にいいのは明白だ。これまたおすすめだ。


　
　














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