カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2019年11月

 最近「スパイスカレー」について、取材等で意見を求められることが多い。
 先日も三大紙の1つから「スパイスカレーブームの成り立ちや今後」に関するコメントを求められいろいろ話したが、その際、自分でも今更ながら思い起こすことがあったので、忘れないうちに書いておくことにしよう。
 
 既存の「カレー」に対峙するように出てきた「スパイスカレー」という語だが、似たように、既成の状況というか、すっかりできあがったジャンルわけみたいなものに反旗を翻すようにして出てきた新語の1つに「パンクロック」がある。

 パンクロックとは、本来1977年頃の英国において、大不況とそれに伴う社会閉塞への不平不満や将来への不安を背景に巻き起こった、新しいスタイルのロックやファッションの創生と、それらに伴う一連の社会現象のこと。

 あくまで反体制的なギラギラした存在であるべきロックが「産業化」してしまい、体制に順応し陳腐な消費材に成り下がったしまったことに失望した一部の若いミュージシャンたちが、自分たちの手でスリルに満ちた本来のロックを取り戻そうと、既成のロックにノーを叩きつけたのだが、当時の日本から見ても痛快だった。

 社会に対する不平不満を体現したかのような荒くれた暴力的衝動に満ち、やや稚拙かもしれないがストレートで理解しすいメッセージ性とそれまでにないスピードや疾走感に満ちた音楽は、新鮮でカッコよかったし、過激なファッションやヘアメイクも、同様に魅力的だった。
 ただし、カッコよかったのはせいぜい1977から79年ぐらいまで。最大の武器であるトンガリ具合とガムシャラな勢いに世間が慣れてしまい衝撃度がなくなると、過激なメッセージも一挙に陳腐化し、色あせた。

 今では、残念ながらパンクは社会に対するメッセージとは無縁。音楽やファッションのジャンルであり、ヒッピーやサイケ同様、ノスタルジックな歴史の一コマになった。

 飲食店の営業空き時間を利用し「間借り」という形で続々オープン。確固たる人気を博すとともに、じわじわ大阪一円に増殖していった、かつての「大阪スパイスカレー」の姿は、既存の外食店経営に対する密やかな個人店主たちのあらがいであり、巨大で強固な壁に新奇な風穴を開ける魅力的代案のようにも見えた。いわば外食カレー店におけるパンクロック的な発想の転換と確固たる存在感を嗅ぎ取ったのである。

 パンクロックと一口にいっても、セックス・ピストルズ、ダムド、クラッシュ、ジャム
という代表的な4バンドだけですら、全然異なる音楽性を持っていた。また、既成のロックの有り様を否定しつつも、60~70年代ロックの熱心なコレクターであり、ニール・ヤングなどの大ファンでもあったジョニー・ロットンなど、かなりのレコードマニアが各バンドにいたりもした。

 これらパンクなノリと、「スパイスカレー」といいながら、スタイルやレシピ、そしてできあがりにさまざまなバリエーションがあること、自由な発想をベースにした個性的な仕上がりがウリだが、インド料理教室のレッスンを積んだり、きちんととった出汁をていねいに合わせるなど、本格的な料理術や先人の知恵をしたたかに活用する点で、どこか似ている気がする。
 風味的に合わなくてもおかまいなし、見境なくカスリ・メティをどんなカレーにも入れてしまう悪趣味も、初期ジャムのザ・フーへのオマージュのようなものか。

 元祖イギリスのパンクロックは2年程度であっけなく終焉したが、大阪スパイスカレーの快進撃はそれ以上に長く、今も続いている。狙いは東京。かつて英国パンクロックが果たせなかったアメリカ進出に似ているが、今のところ、概ねいい調子のようである。

 パンクロックの後、ポリスやエルビス・コステロ、U2に代表されるより普遍的な名バンド、名ミュージシャンがイギリスから世に出た。いわゆるニューウェーブやポストパンクである。

 一方、アメリカではラモーンズやテレビジョン、パティ・スミス、リチャード・ヘルらのニューヨーク・パンク勢が英国パンクに呼応するように活躍。それらの伝統はしばしの時を経て、最終的にレッド・ホット・チリ・ペッパーズという名バンドの成功へと結実する。

 こうしたより普遍的な存在が、スパイスカレー界からも生まれ出るか。
 私の知る現状店舗の技術面での限界や食に関するセンスを考えると、かなりハードルは高いと思われるが、興味深く見守っていきたい。

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 インド、欧風、スパイスカレーなど、日本におけるすべてのカレーの中で、最も好きなものの1つが「渋谷ムルギー」。先代のオヤジさんの頃から通っているので、約40年か。未だに食べ飽きない永遠の名作。「スパイスカレー」の分野からも、こうした銘品が将来生まれたら最高だ。

《このブログを書いているときのBGM》
ゆらゆら帝国『ミーのカー』(1999年)
 日本のバンドでは数少ない、全面肯定できるカッコよさ。アルバムはどれも名盤だ。
https://www.youtube.com/watch?v=NbUPmZuamQw
 
★「サザンスパイス」新公式サイトはコチラ

★個人サイト『誰も知らないインドカレー』から「サザンスパイス」レッスンスケジュールや参加申込み可能!





★アジアン料理ユニット『ヤミーズディッシュ』のブログ
https://yummysdish.exblog.jp

タイトルにあるように、東京西荻窪にある料理教室「サザンスパイス」公式サイトのリニューアルがようやく一定レベルで完了。何とか業務活動に反映できるようになった。

 新URLは
https://www.southernspice.tokyo/
 以前のウェブサイトは破棄していただき、しっかりチェックしておいていただきたい。

「サイトにたどりつけない」「料理教室の予約ができない」などお叱りを各方面からいただいていたが、どうにか平常に戻れそうだ。

 もちろん、サザンスパイス料理教室の予約もこの新サイトでできる。「スケジュールと予約」のページからどうぞ。

 これを機に、「メールマガジン」をなるべく頻繁に配信することにした。内容は、当然ながら私ならではのものにしていくつもり。購読希望の方、まずはサザンスパイスサイトの「Home」一番下をご欄いただきたい。

 今年も余すところ一カ月半。頑張ってぶっ飛ばしていこう。

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《このブログを書いているときのBGM》
JESSE ED DAVIS『ULULU』(1972年)
 あらゆるジャンル込みで最も好きなミュージシャンのひとり。このセカンドアルバムは捨て曲なしの超名盤。
https://www.youtube.com/watch?v=weTO1qBoggU
 1曲目。グルーブあふれるサウンドと、JESSEならではのスライドギターにやられる。

★「サザンスパイス」公式サイトはコチラ

★個人サイト/~masala/ 『誰も知らないインドカレー』から「サザンスパイス」レッスンスケジュールや参加申込み可能!





★アジアン料理ユニット『ヤミーズディッシュ』のブログ
https://yummysdish.exblog.jp
     


11月某日

 急な話で、まだきちんと対応できていないが、先月途中から「サザンスパイス」の公式サイトを閉鎖した。

 ちなみに、これまでの「サザンスパイス」サイトのURLをクリックすると、こういうのが出る。

 驚き、あきれ、「あれっ、営業していないのかな」と早合点した人も少なくないだろう。
「サザンスパイス」はつぶれたわけでもなく、ちゃんと日々、料理教室ほかの業務を行っている。

 新しいドメインも取得した。
 新URLは https://www.southernspice.tokyo/
 現状、wixを使って、新サイトを手づくりしているところ。wixに慣れていないので、遅々として思うようには進んでいないが、とにかく一刻も早くサイトのリニューアルはやり切りたい。皆さんも新URLにアクセスの上、叱咤激励していただければ、ありがたいものだ。

 さて、肝心の話。
「これまでサザンスパイスのサイトから料理教室の申し込みをしていたが、サイトにアセスできない現状、どうすればいいのか教えてほしい」というお叱りのメールをすでに多数いただいている。申し訳ありません、ホント!

当面、サザンスパイスの料理教室予約の手順は、以下の通り。

①私のベタな個人サイト『誰も知らないインドカレー』にアクセス。
②スクロールしていくと、料理教室の概要、あるいはスケジュールについて書かれた箇所が数か所あるはず。
③スケジュールをチェックしていただき、希望のレッスンがあれば、料理教室に関する説明文の最後にある「コチラ」から、私宛メールをお送りください。
・希望のレッスン日時、レッスンタイトル、参加人数
・あなた様のお名前、連絡先(メールアドレスと電話番号、両方書いてください)
・初めて参加希望される方はその旨お書きいただけると助かります。会場順路、持ち物等記したメールをスムーズに返信できます

 念のため、私のメールアドレスは以下の通り。
panipuri@muh.biglobe.ne.jp

 なるべく早く(基本2営業日以内)予約可否結果のメールを返信します。
 よろしくお願いいたします。

 というような感じになる。
 要するに、私のメールアドレスをご存じで、スタジオのスケジュールも確認可能であれば、手軽に予約ができるのは、これまで通りである。

 なお、今月11月のスケジュールはこんな感じ。
「チキン・サンバル」「アンボティック」「チキン・ジャルフレジ」など、ちょっと珍しいカレーはもちろん、「ホウレンソウ」特集や「ジンジャー」特集など、基本もがっちり。「インド式ステーキ」も一回だけだが、復活。
 いずれも、乞うご期待である。

ss lpframe  100117
10年前の「サザンスパイス」LPジャケット・ディスプレイ。一番左の下は横尾忠則さんとYMO3人による合作名盤(迷盤?)『コチンムーン』。上はジョージ・ハリスンも参加のラヴィ・シャンカール。横尾さんの右がBBキングの名盤『ジャングル』(ハンモックに寝ているのはBBではなくローウェル・フルソンとの話だが)で、その上はニナ・ハーゲン。右にサイケなストーンズで、下がバウハウスのファーストアルバムというのは、我ながらなかなかいい感じだった。そして右奥上に痺れるダーティ・サウンドのハウンドドッグ・テイラー、下にほのぼのニューオリンズのアラン・トゥーサン。インド料理に負けない多様性が、壁面から発せられていた。やっぱりアナログLPはいい。

《このブログを書いているときのBGM》
THE ALLMAN BROTHERS BAND『THE FILLMORE EAST LIVE』(1971年)
10月29日が命日の不世出のギタリスト、DUANE ALLMANに敬意を表して。冒頭「ステイツボロ・ブルース」のイントロ、何度聴いても鳥肌が立つ。
https://www.youtube.com/watch?v=FUvxRjYqjEQ 
動くDUANEはやはり貴重。

★個人サイト/~masala/ 『誰も知らないインドカレー』から「サザンスパイス」レッスンスケジュールや参加申込み可能!





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