カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2014年01月

1月某日

 冬から春に向け、ホウレンソウ、カリフラワー、新ジャガイモなど、おいしくて、インド料理によく合う野菜が市場をにぎわす。

 キャベツもそんな野菜の1つだ。

 汁のあるカレーに入れることは少なく、炒めもの系の調理が多い。

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 これは北インドのサブジ。クミン・シード、ターメリック、カイエン・ペパーの3種類のスパイスがあれば、おいしくできる。

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 こちらは南インドのポリヤル。マスタード・シード、黒マッペの挽き割りのウラド・ダール、カレー・リーフ、ヒング、そしてココナッツ・ファイン。パウダー・スパイス以外のものが活躍する。

 当然、サブジとポリヤルでは味わいは異なる。が、どちらも美味なので、おいしいレシピは覚えておきたい。

 クッキングスタジオ「サザンスパイス」では2月、「硬くゆでたムング・ダール(緑豆の挽き割り)とキャベツのポリヤル」といったユニークなキャベツメニューもレッスンする(8日と18日)。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~masala/southern%20spice%20cooking%20class%20feb%202014.html

 興味のある方はぜひどうぞ。

《このブログを書いているときのBGM》
BOB DYLANt『DESIRE』(1975)
 バイオリンがカッコいい名盤。
http://www.youtube.com/watch?v=8_cJTdSbnh8 

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!



10月31日

 北西インド、パンジャーブ地方ならではの「ドライプイン式インドカレー食堂」というべき「ダバ」でランチ。

 ちなみに店の名前は「SARPANCH DA DHABA」という。ベジタリアン専門店だ。

 パンジャーブならではのベジタリアンカレーをあれこれオーダー。ご紹介しよう。

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 ダール・フライ。フライは揚げものではなく、炒め。スパイス類、香味野菜などをギーで炒め、煮込んだ挽き割り豆と合わせ、さらに煮る。この店の豆は皮つきウラド・ダールとチャナ・ダールを使用。ムング・ダールやマスル・ダールを使ったふつうのダールカレーとは異なるテイスト。クミン・シード、タマネギ、トマト、香菜なども。

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 アールー・マタル。ジャガイモとグリーンピースのカレー。日本の材料でつくると凡庸になりがちだが、本場は違う。素材の風味が強い上にスパイス使いが絶妙で、うれしくなる。タマネギ、トマト、ショウガ、クミン・シードなど。

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 パニール・マタル。パニール(インドのカッテージチーズ)とグリーンピースのカレー。前のアールー・マタルにパニールを足しただけのようにも思えるが、カレーソースの味わいは異なっていた。

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 パニール・ブルジ。パニール(インドのカッテージチーズ)のスパイス炒めで、私の大好きなメニューの1つ。レシピ的に、パニールは小さく切るか、粗くおろすかの2パターンあるが、この店は後者。タマネギのみじん切り、トマト少々、香菜など。青唐辛子は使っていない。ギーの香りもよく、バツグン。ビールが欲しくなった。

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 ヒヨコ豆のスパイス煮込みである、日本でもおなじみの「チャナ・マサラ」。オーソドクスでシンプルなつくり方なのだろう、食べてみると意外に軽やかなウマさだった。

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 全粒粉の生地をタンドゥール窯で焼いた「タンドゥーり・ローティ」。同じ生地をより薄くして鉄板で焼けば「チャパティ」である。私はカレーといっしょに6枚食べた。滋味深い味わい。

 やはり、ロードサイド型ダバはおいしい。
 私が日本でカレーのレストランをやるとしたら、ダバ方式の大鍋カレーを採用したいと思っている。

《このブログを書いているときのBGM》
HUMBLE PIE『EAT IT』(1973)
 今日が誕生日のスティーヴ・マリオットに敬意を表して。
http://www.youtube.com/watch?v=pTlxhnuVfOo&list=PL03D54AD9A02CF37C

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10月31日

 北西インド・パンジャーブ州からデリー方面に向かい、チャーターバスで国道を疾走。ただし、ただ突っ走るのではなく、国道脇のおいしいレストラン「ダバ」のチェックも怠らない。

 ダバというのはインド式ドライブインというか、国道・幹線道路を行く長距離トラックの運転手やバスの乗客向けの安くておいしい食堂のこと。
 おいしいカレーをドカンドカンと大鍋に入れて店頭に出し、オーダーごとにそこからすくって供したりする。ホテルのダイニングや高級レストランではこうしたやり方をしないことが多く(大鍋抜き、フライパンや小鍋でチマチマと調理する)、「ダバスタイル」といえば、できあがったカレーを保温しつつ、そのまま供するダイナミックな手法のインド料理店のスタイルをも指す。「レストランスタイル」の対義語だ。

 パンジャーブ州のアムリットサルから、より首都デリーに近いハリアナ州の州都チャンディガル(パンジャーブ州の州都でもある。ややこしい。ル・コルビジエが都市計画に参加、インドで最も生活水準が高い街だ)に向かう国道の脇に、ウマそうなダバを発見。ランチにした。

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 大鍋が並んだ店頭。典型的な「ダバ」の姿だが、どこかミステリアスでもある。

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 キッチンをのぞくとこんな感じ。ターバンのシーク教シェフが鍋を操り、煮込み系ではないマサラなどの料理を仕上げていく。奥にはタンドゥール窯があり、ローティやナーンなどのパンを炭火で焼き上げる。

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 これはキッチンの外。インド式サラダをつくっているところ。庶民派食堂でよく見る光景。

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 客席。テーブルとイスが独特。われわれはここではなく、日当たりのいい屋外のテーブルでいただいた。

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 できあがった料理を皿に盛りこんでいるところ。よく見ると、中華鍋のような調理器具にも、取っ手やへりの部分に独自の工夫がしてある。このあたりの妙なこだわり、いかにもインドぽい。

 こうしていただいた料理のレポートは次回。乞うご期待である。

《このブログを書いているときのBGM》
CACTUS『ONE WAY OR ANOThER』(1971)
 ヴァニラ・ファッジ、ミッチ・ライダー&デトロイト・ホイールズ、アンボイ・デュークスというクセのあるバンドのメンバーで構成されたヘビーブルースロックバンドの名盤。
http://www.youtube.com/watch?v=fKpbxGKzmYI
 何といっても筋金入りのジャンキーだったラスティ・デイの噛みつくようなボーカルがイイ。

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12月某日

 年末、下北沢で友人がオーナーを務める、ライヴや展覧会もできるアートなカフェ「カフェ・キックCafe KICK」(最近インド音楽のライヴも多い)でトークライヴをやった際、たまたま遅い昼食に入ったのが「沖縄麺屋 おいしいさあ」という店。

 1979年に上京してからシモキタとは何かと縁があるが、沖縄料理系の店ができたのはバブル以降のことだと思う。とにかく私には、ラーメンと中華以外、あまり特徴的な麺の店が思い浮かばない街という印象が強い。

 そう思っていたので、こういう店はうれしい発見だった。

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 いただいたのは「よもぎ(フーチバー)」を練り込んだ麺の「フーチバーそば」、780円。

 この店、スープ等に化学調味料無添加とのこと。実際、出てきたそばのスープは透明、あっさりしたタイプ。私は好きだった。

 フーチバー入りの麺もコシがあり美味。

 全体に上品なそばで、チャンプルーでアジアンな混沌ぶりは希薄。その点、少しばかり物足りなかったが、あえていえば、それが今のシモキタには合っているのかもしれない。

 酒の肴系メニューも充実しているので、チョイ飲みにもイイかも。

《このブログを書いているときのBGM》
『CLUSTER & ENO』(1977)
 ときにインドな隠れ名盤。
http://www.youtube.com/watch?v=T75TK9XFfx4

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1月某日

 インドカレーで日本人が最も親しみやすいものの一つが、いうまでもなく「チキンカレー」だ。

 チキンカレーといっても、インド中にいろいろなスタイルでさまざまな味わいのモノがある。

 そんな中でも、レシピがなかなかユニークで印象的、しかも自作するにも案外かんたんでおいしく、おすすめなのが南インド・ケララ州のカレー「マッパス(マパス)MAPPAS」だ。

 古くから「シリア・クリスチャン」と呼ばれるコミュニティに伝わるカレーで、チキンのほか、フィッシュ、野菜、さらにはヒンドゥーやイスラームと異なり、ビーフやポークのマッパスもある。

 ユニークなのはトマトやヨーグルトを使わないこと。そして、代わりにたっぷりのココナッツ・ミルクと、なぜか大量のコリアンダー・パウダーを使用することだ。

 私のレシピでは、チキンのマッパスの場合、コリアンダー・パウダーは大さじ2(小さじ6)入れる。通常のチキンカレーではたいてい小さじ2程度なので3倍多いことになる。

 コリアンダーが多いと、ふつうは重くてやや鈍い味になるが、このカレーは意外に軽やか。それはほかの食材の組み合わせ、さらにはココナッツ・ミルクのおかげかもしれない。

 トマトとヨーグルトが入らないのもユニークだ。インド料理のおいしさを形づくる最大のポイントの1つでもある酸味の要素がないのだから。しかし、食べるとおいしいので納得となる。

 ぜひ、機会があったら本場ケララでマッパスにトライしていただきたい。日本ではなかなか出会えない美味だ。

★クッキングスタジオ「サザンスパイス」では2月8と18日に「チキンのマッパス」のレッスンあり。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~masala/southern%20spice%20cooking%20class%20feb%202014.html
申込みは「サザンスパイス」のサイトからどうぞ。
http://www.southern-spice.com/index.html

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 サザンスパイスの「チキン・マッパス」の一例。

《このブログを書いているときのBGM》
THE BEATLES『REVOLER』(1966)
 サイケ時代突入の名盤。
http://www.youtube.com/watch?v=MF90rX43VpE
 インド&サイケ。さすがジョージ。

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