カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2013年12月

10月30日

「インドツアー2013」パンジャーブ~デリー編も後半へ。

 パンジャーブ州アムリットサルのホテル「ゴールデン・チューリップ」の朝食。

イメージ 1

 左下は米と豆の発酵生地で作るサワー蒸しパン「イドゥリ」。
 ホール・スパイスやチャナ・ダール(黒いヒヨコ豆の挽き割り)が入っているので「カーンチプラム・イドゥリ」といわれるタイプにも思われるが、ホール・スパイスの組み合わせが私の知るレシピとは異なる(写真ではマスタード・シードが見えるが、私が入れるのはクミン・シードと粗く砕いたブラック・ペパーなど)。北インドのシェフによるアレンジか?

 その上の白いのは、南インド式ココナッツのチャツネ。
 インド料理にくわしくない方に説明すると、インドではスパイシーなジャム状の「マンゴーチャツネ」はマイナーで、ココナッツ、香菜、青唐辛子、ミント、トマト、ショウガ、ニンニクなどをそれぞれ、あるいは組み合わせて、スパイスやハーブとともに挽いたフレッシュでスパイシーなチャツネが主流。食べ方もカレーの隠し味には使わず、サモサなどの揚げものスナック、タンドゥーリ・チキンなどの炙り料理、ミールスのご飯、ドーサやイドゥリといった軽食のソースやつけだれに使う。

 真ん中下は「ラヴァ・ウプマ」。粗挽きセモリナの炒り蒸しで、南インドではたいへんポピュラーな軽食の1つである。ウプマにはバミセリ、ブレッド、ライスなどいろいろあって、どれも美味。

 右下は「ワダ」。
 ウラド・ダールという豆粉のドーナツ風軽食だが甘くなく、あえていえば、はんぺんのような味わい。

 その上にチラリと見える赤いのは「トマトのチャツネ」。
 南インド料理ぽくなくて不思議な味。

 で、真ん中上は南インドを代表するベジタリアンのカレー「サンバル」。
 見ての通り、かなり薄い。しかも、サンバルらしい風味も薄め。

 それでも、それぞれのアイテムをサンバルやチャツネとミックスしながら食べれば、大いに満足。胃にも優しく、やっぱり南インドのベジタリアン料理はいいなあと実感。

 普段はこの後、北インド式朝食アイテムもすべて食べるのだが、この日はここでストップ。
 おいしいベジタリアンの料理レッスンが待っているからだ。南インド料理よりも脂の多いパンジャーブ式ベジタリアンメニュー、ちょっとは胃に余裕を持たせようと思ったのであった。

《このブログを書いているときのBGM》
JAGATARA『裸の王様』(1987)
 ひさしぶりに聴くアルバム。最高。
https://www.youtube.com/watch?v=OPacLHMkQCY
 現首相に捧げたい名曲。

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!





 



 

12月24日(火)

 クリスマスイヴの夜、わがクッキングスタジオ「サザンスパイス」では、忘年会的「インドの居酒屋」を実施した。

 予想以上の盛況で、総勢11名の皆さんがおいでになり、私のインド料理を肴に盛り上がっていただいた。

この夜のメニューをご紹介。

1.パパド・ロースト
 魚の焼き網使用。

2.ケララ風エビのサラダ
 ボイルしたブラックタイガーにスパイスの下味。野菜と合わせて塩、レモンなどで調味してから、マスタード・シードなどの香り油で仕上げ。

3.パラク・パニール・サブジ
 ホウレンソウとパニール(インドのカッテージチーズ)の汁なし炒め煮込み。カレーソースの多いホウレンソウ入りカレーとは異なる味わい。

4.南インドのバジ(パコラ)
 ベースン(ヒヨコ豆の粉末)の衣のスパイシーな野菜フリッター。ジャガイモ、ナス、そして生のカリフラワー。お座敷天ぷら感覚で揚げたてをお出しした。

5.南インドのグリーンチャツネ
 ココナッツに香菜、ミント、青唐辛子をブラスしたスパイシーなチャツネ。まずはバジに添えて。

6.バミセリ・ウプマ
 極細パスタの炒り蒸し。南インド料理の中でティファンと呼ばれる軽食の1つ。そのままでもいいが、チャツネ、そしてサンバルをかけて、さらに美味。

7.ナスとパプリカのサンバル
 定番の南インドベジタリアンカレーに、より豊かな彩りと味わいをプラス。
イメージ 1
 できたてをiphoneでパチリ。この後、香菜をたっぷりトッピング。

8.チキン・コフタ・マサラ
 鶏肉ミートボールのスパイス煮込み。コフタとは団子状のものを指す。
イメージ 2
 できたてからちょっと時間が経過し、表面が乾き気味な写真。しかし、その分ソースとコフタ双方のうまみが交換され、さらに美味。温め直してから香菜をたっぷりトッピング。ちなみにコフタにはスパイス、トマトのみじん切り、香菜やシシトウなどがミックスされている。

9.チキン・シャージャハーニー
『スパイスの黄金比率で作るはじめての本格カレー』(ナツメ社)にも「チキンエッグカレー」として紹介されている、北インド式イスラームカレーの本格バージョン。チキンのクリーム煮込みにも似た風味だが、やっぱりカレー。

10.チキン・ペッパー・フライ
 南インド式チキンカレーのキラーアイテム。今回はグレービー多めにしてみた。ブラック・ペパーの利いたスパイシーな煮込み。水は一滴も使っていない。
イメージ 3
 ふだんはもっと汁気少なめだが、本日はライスとの絡みを考え、ソース多めで。

11.チキンレバーのスパイス炒め
 北インドのイスラーム料理。ワインやビールによく合う。

12.ブラック・アイド・ピーのチャット
 ロビアあるいは黒目豆などと呼ばれる豆をボイルし、香味野菜、スパイスなどとインド式サラダに仕立ててみた。

13.サフラン・ジーラ・ライス
 クミン風味のサフラン・ライス。米はバスマティ・ライスを使用。

14.チャイ
 ミルクが多くて、濃い味のホテルタイプ。

 ほかにも「南インド風カリフラワーのガーリックペパー炒め」「アーンドラ風ピーマンのマサラ」などお出しできるよう準備していたが、参加者皆さんのおなかの具合を考慮し、ストップ。

 年末の忙しい時期にも関わらず、おいでいただいた皆さんに感謝。お酒の差し入れにも多謝。

 今回は忘年会的「インドの居酒屋」だったが、年明け1月5日(日)には新年会的「インドの居酒屋」を催す。
★クッキングスタジオ「サザンスパイス」1月のスケジュール
http://www5e.biglobe.ne.jp/~masala/southern%20spice%20cooking%20class%20jan%202014.html

 盛りだくさんの料理を体験できる絶好の機会だ。
 ぜひおいでいただきたい。
★申し込みはコチラ
http://www.southern-spice.com/lesson.html

《このブログを書いているときのBGM》
MOTT THE HOOPLE『LIVE 30TH ANNIVERSARY EDITION』(レコーディングは1974、発売は2013)
 もともと1枚だったのが、未発表テイク多数で2枚組CDとしてリリース。
https://www.youtube.com/watch?v=YNmC-ZT-Eak

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!





 
 

10月29日

 まだ終わらない「インドツアー2013」の報告。この調子だと年をまたいでレポートは続きそう。ゆったりお付き合いいただきたい。

 首都デリーには、もともとパンジャーブ地方のローカルフードだった「タンドゥーリ・チキン」をデリーではやらせ、さらには「バター・チキン」カレーをも創作した「タンドゥーリ・チキンとバター・チキンの元祖」を名乗る店が2つある。

 1つは支店を持たず、オールドデリーの一角に店を構える「モティ・マハル」。私と東京カリー&スパイス番長、みずのじんすけさんで、2007年のダンチュウdancyuカレー特集号で取材した。

 そしてもうひとつが「モティ・マハル・デラックス」。
 デラックスがつくだけだが、別の店であり、創業者の伝記があったり、ビールも飲めるなど、こちらの方が商売上手で、支店も多い。日本からの現地在住商社マンや観光客にもこの店を知る人は少なくない。

★2007年、テレビの収録で訪れたときの
http://blogs.yahoo.co.jp/akirawatanabe2191960/28732023.html

 で、後者の支店がアムリットサルにもあるというので、夜、行ってみた。

イメージ 1
 インドの定番的サラダ

イメージ 2
 定番のタンドゥーリ・チキンも食べたが、これはベジタリアンのタンドゥーリ、右がパニール(インドのカッテージチーズ)、左がマッシュルームに詰めものをしたもの。

イメージ 3
 カレー多数。前列真ん中の「チキン・バルタ」(キーマより粗挽きをバルタという)ぐらいしか印象に残るモノがなかった。

 ディナータイムが始まったばかりにも関わらず、メニューに欠品が多く、それを悪びれもせずいってくるホールスタッフ、しかも料理に関する知識も貧弱であきれてしまった。

 インドにきたら一度は訪問すべき有名店の1つだが、私はもう1つの元祖の方に、より愛着がある。料理も個性的だし。

イメージ 4
 オールドデリーにあるモティ・マハルのタンドゥール・セクションの風景。サザンスパイスの「インドツアー」でも訪問済み。

★モティ・マハル、2007年ダンチュウdancyu誌取材時の裏レポートはコチラ
http://blogs.yahoo.co.jp/akirawatanabe2191960/7873192.html

★モティ・マハル・デラックス、2007年BS朝日「亜細亜見聞録」収録時のレポートはコチラ
http://blogs.yahoo.co.jp/akirawatanabe2191960/28732023.html


《このブログを書いているときのBGM》
NEW YORK DOLLS『NEW YORK DOLLS』(1973)
 今、観て、聴くと、その偉大さがよくわかるバンド。5人中3人が故人なのもロック。
 http://www.youtube.com/watch?v=wun5Cg-xr-s
 彼らがパンクを生んだのは明白。オリジナリティあふれる演奏とルックスも最高。

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!





 
 

12月某日

 今年の8月から毎月連続して「ビリヤニ講座」的レッスンを行っている。

 インド亜大陸で「ご飯料理のごちそう」といえば、真っ先にこの料理の名前が挙がる。それくらい現地の人たちも好きな「炊き込みご飯」である。

 ビリヤニといっても、その調理法やメインの食材ごとに、いろいろな種類が本場では楽しまれている。クッキングスタジオ「サザンスパイス」でこれまでレッスンしてきたのは
1.南インドのヒンドゥー式生米炊き込みチキンビリヤニ
2.北インドのイスラーム式湯取り法蒸し上げチキンビリヤニ
3.南インドの特製マサラ野菜ビリヤニ
4.南インド式への変換もかんたんな北インド式ヨーグルトベースのシュリンプビリヤニ

 中でも重要なのは2で、「ダム」と呼ばれる「ヨーグルトとフライドオニオンがベースのカレーと硬く炊き上げたスパイスライスを重ね蒸しするテクニック」の効果を存分に発揮させたもの。

 今月は新アイテムのシュリンプと、復習がてら2のチキンをそれぞれ別の日にレッスンした。

イメージ 1
 おいしいシュリンプビリヤニのために、まずはおいしいエビカレーをヨーグルトベースで作る。

イメージ 2
 湯取り法で固ゆでしたバスマティ・ライスと大鍋で重ね蒸し。これは生徒さんたちが盛り分けた後の姿。8人分でバスマティ・ライスのコメを6カップ使用した。

イメージ 3
 こちらは昨日23日にレッスンしたチキンビリヤニ。バスマティ・ライスがパラリ。

 同じようなレシピでも、メインの材料が変わるだけで、全体の味わいや香りが大きく変化する。これがビリヤニの持つ醍醐味の1つ。
 そしてもう1つ。
 ビリヤニはある程度たっぷり作った方が絶対においしい。

 というわけで、来月はいよいよマトンビリヤニをレッスンする。
 北インドでビリヤニといったら、まずマトン。そのくらいの王道メニューである。
「ダム」式で仕上げるが、似たようなレシピのチキンとは異なるできあがりになるはずだ。


イメージ 4
 「インドツアー2012」の最終日に食べた南インドのマトンビリヤニ。ルックス最高、しかし味はイマイチ。こうはならないよう頑張ろう。

《このブログを書いているときのBGM》
THE MODERN LOVERS『THE MODERN LOVERS』(1976)
 トーキング・ヘッズのメンバーもいたジョナサン・リッチマン率いる、早すぎたニューウェイヴバンドの名盤。
http://www.youtube.com/watch?v=BgRYncR1Nog

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!





 
 

2014年1月7日

 インドにもピクルスがある。
 それもマンゴー、ライム、チリ、トマト、ニンニク、ショウガ、ドラムスティック、ゴングラなどさまざまな野菜や果物のほか、チキンやエビなどのノンベジ・ピックルもある。
 南インドでは各種ピックルをヨーグルトとともにライスに混ぜ、食べるのが食事の締めのテッパンだし、北に行けばチャパティやパラーターといったパンにつけて食べたりもする。たいていのインド人にとっで日々の食卓に欠かせない常備菜の1つだ。

 ただし、当然のように西洋のピクルスとはレシピ、味わいともに異なる。

 かんたんにいえば、皆さんご存知の通り、西洋は酢漬け、それに対してインドはスパイスとオイル漬け。ワインの文化が発達しなかったインドでは、ゴアやケララのクリスチャン文化などを除き、酢は使わないのが基本。

 具体的には、赤唐辛子とマスタード・シードを挽いたパウダー、それにメティ・シード(アサフェティダ)のパウダー、スパイスのパワーと保存性を高める大量のオイルと塩、味のアクセントにもなるレモン汁、これらがインド式ピックルのベースとなるケースが多い。

 北インドだと「マスタードオイル」、南インドでは「ジンジリオイル」と呼ばれる太白ゴマ油が、それぞれよく使われるが、私の好みとしては南インドのピックル(最近、アマチュア南インド料理愛好家たちの間で「ウールガイ」「ウルガイ」などという、現地名としても人気があるようだ)に軍配を上げる。

 来月1月にはクッキングスタジオ「サザンスパイス」のレッスンにも南インドのピックルを登場させる。ぜひマスターしていただきたい。
★クッキングスタジオ「サザンスパイス」1月のスケジュール
7日ほかに「ピックル」の名前あり。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~masala/southern%20spice%20cooking%20class%20jan%202014.html

イメージ 1
 現地並みに辛い「ニンジンの南インド風ピックル」。サザンスパイスにて。

《このブログを書いているときのBGM》
ERIC CLAPTON『THERE'S ONE IN EVERY CROWD』(1975)
 前作461より地味でセールスはよくなかったらしいが、内容はむしろ上かも。
http://www.youtube.com/watch?v=XWNEzDF_o3w
 スローハンドなソロが爆発。

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!












 

↑このページのトップヘ