カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2013年01月

1月某日

 クッキングスタジオ「サザンスパイス」のキッチンで、久しぶりに「パニール・マッカーニー」を作ってみた。

 パニールはインドのカッテージチーズ。マッカーニーはバターソースと訳されるが、実際は、トマト、バター、生クリームを使ったマイルドな北インドのカレーソースのこと。

 すなわち、北インド風パニール(インドのカッテージチーズ)のトマトバタークリームカレーが「パニール・マッカーニー」である。

 ちなみに「パニール・バター・マサラ」というメニューも北インドのレストランにあるが、これは「パニール・マッカーニー」と同一料理で同一レシピと考えていただき、問題がない。

 一番シンプルな「パニール・マッカーニー」のレシピは「バターチキン」でチキンをパニールに代えればオーケーというもの。原理的にも、これはこれで合っている。

 私の場合、チキンとパニールでは、少し「マッカーニー」の「グレービー」(カレーソースのことだ)の内容を変える。

 個人的には、プライベートでゆるベジ志向なこともあり、「パニール・マッカーニー」は大好きな北インドカレーの1つ。

 春に向け、「パラク・パニール」とともにサザンスパイスでおすすめアイテムにしようか。バターチキンよりも、断然こちらが好みなのだ。

イメージ 1
 あえて香菜をトッピングしないで仕上げたが(本場でよくやるやり方)、やっぱりちょっと地味だったか。カスリ・メティと香菜はカレーソースにたっぷり入っている。パニールはインド「アムール」のものを冷凍直輸入したものを使用。これはこれでイケる。

 実物は写真よりもオレンジ色が美しい。

 バターチキン同様、安易に作るとヘビーに仕上がり、白いご飯には不向きなカレーになりやすい。
 私のはあっさり系だが、それでも無添加のピタとフォカッチャで食べた(妙な組み合わせ?)。

《このブログを書いているときのBGM》
NEIL YOUNG『LIVE RUST』(1979)
 ニール・ヤングはすべてよい。
http://www.youtube.com/watch?v=FaMm0H8JaLM
 やっぱりこれ。イントロからゾクゾクする。
★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!



1月13日

 ホイアンの朝。チェックしたいもの多数だが、あいにく日曜で休んでいたり、行くのが遅くて売り切れの店が続出(朝6時開店などという店もあるらしい)。結局、ベトナムを代表する米麺「ブン」の屋台で人気のあるところに入ってみた。

イメージ 1
 3種類の人気ブンを1つずつオーダーして食べ比べ。
 おいしそうなさつま揚げの入った、透明スープの汁ありブン、八丁みそのような濃い肉みその汁なしブン、魚の発酵ペーストであるマムの風味を効かせたやはり汁なしのブン・マム。

イメージ 2
 テーブルの上の赤いチリとライム形レモン。ライムが黄色い果肉のかんきつタイプに。赤いチリをポリポリするのもオツなもの。

イメージ 3
 エシャロットのような小タマネギとチリを酢につけたもの。これをたっぷりブンの上にのせ、全体を混ぜつつおいしそうに食べる地元の人を間近で目撃。やってみたら美味だった。チリは入っているが直接噛まなければ、それほど辛くない。

イメージ 4
 分析しつつ食べる(?)料理家2人。

イメージ 5
 支払い時、伊藤忍と談笑する店主らしきオバちゃん。彼女の服や帽子、そして周囲の佇まいが雑然としつつも、何ともいえずポップ。この感覚はベトナム独特な気がする。

 朝からおいしくて満足。さらに街を散策した。

《このブログを書いているときのBGM》
LIGHTNIN' HOPKINS『MOJO HAND』
 30日が命日のテキサス出身、不世出なブルースマンの名盤。音楽もエグイがジャケットも強烈だ。
http://www.youtube.com/watch?v=QHDV1atJ_Bo
 ギターソロが妙にお洒落で印象的なブギ。

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!



1月12日

 バスからタクシーに乗り継ぎ、世界遺産の街ホイアンに着いたのは午後8時すぎだったか。瀟洒なホテルにチェックインし、すぐに街を散策しつつ夕食。

 今回のターゲットは「豚の炭火串焼き」。
 ポークティッカを平べったくしたような「グリルド・ポーク・サテ」、そしてシークカバーブ風に練り上げた「ネム」の串焼きを野菜やハーブ、さらに細めの揚げ春巻きとともにライスペーパーでくるみ、それを肉みそだれで食べる。

イメージ 1
 妙なアングルで申し訳ない。これが「グリルド・ポーク・サテ」(当然、現地の名前もあるのだが、勉強不足で失念…)、そしてつくね焼きのような「ネム」の炭火串焼き。
 イスに座ると、間髪入れずドカンとこうした串焼きが持ってこられる。続いて、野菜やハーブ、ライスペーパー、たれなども。気づけば、宴の始まり。
 バックにボンヤリ映るグラスのポップさにも注目を。こういう感覚は、インドにはまずない。

 日本ならそのままじっくり串焼きで味わうところ、生野菜やハーブ、パイナップル入りの甘酢浅漬け、そして細い揚げ春巻きも。すべてを薄いライスペーパーで巻いて食べる。

イメージ 2
 大量の生野菜とハーブ、そしてライスペーパーで巻き上げられたもの。ライスペーパーは日本にはない薄さで、水に浸さずとも、野菜などの水分ですぐに軟らかになった。

イメージ 3
 メインの炭火焼肉、生野菜やハーブのほか、この甘酢仕立ての浅漬け風野菜も入れたが、パイナップル入りで美味だったな。もちろんパイナップル入りというのがポイント。

イメージ 4
 具だくさんの巻きものは、この肉みそだけで食べる。意外とサッパリしていて、肉や野菜の風味を引き立ててくれた。

イメージ 5
 この店のもう一つの名物が小さな「バインセオ」。
 モヤシやエビの入った直径10センチほどのバインセオが、半折りになってテーブルに運ばれるので、客はやはりこれもライスペーパーで巻いて食べる。

イメージ 6
 味の濃い小エビとシャキシャキのモヤシが張りのある皮(ただしオイリー)とイイ相性。皮の油が多いので、野菜などとライスペーパーで巻くとちょうどいい。
 なぜか、昔、カルカッタで食べた「ムグライ・パラータ」という具入りのオイル薄焼きパンを思い出した。

 実は、テーブルに着いた瞬間から店のペースにはめられ、両手ベトベトでマキマキ、ビールをゴクゴクの延々連続。まともに写真を撮るチャンスがなかった。
 見ていると隣のテーブルに後からやってきた西洋人の若いカップルも同じ目に遭って、アタフタしているのが、ほほえましい。
 いい意味で、店の人たちはすすめ上手。だから、わんこそばのようなノリですっかりペースにはめられる。
 こういう独自のキャラ(私の眼からすると「大阪的」)を持つ店は、今回のベトナムで初めて。そういう点でも印象的な店だった。

《このブログを書いているときのBGM》
PATTI SMITH『RADIO ETHIOPIA』(1976)
 セカンドアルバム。アンチコマーシャルで地味な印象だが、好きな作品。
http://www.youtube.com/watch?v=BoAxnXBq2nw
 昔、この曲に日本語の全然違う歌詞をつけて、バンドで演奏していたことがある。

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!





 

1月12日

 この日は午後から夕刻にかけ、高原を下って、街全体が世界遺産という「ホイアン」まで数時間のバスとタクシー移動。

 移動前、高原の町で最後の腹ごしらえ。『NHAT LY』という地元の人たちに人気のレストラン。なかなか雰囲気のある落ち着いた感じの店だった。

イメージ 1
 前日、豚とレタスに化けていた、炒めた牛肉とクレソンのサラダ仕立て。彩りもよく美味。やっぱり野菜がうまい。

イメージ 2
 カリフラワー、ブロッコリー、エビ、タマネギの炒めもの。これも前日、ブロッコリーだらけだったが、カリフラワーが入った方が美味。エビはこういう山間地で食べてもウマい。

イメージ 3
 店の得意メニューの1つでもあるという、ガーリック風味のロティサリーチキン風。インドもそうだが、まず、素材として、肉の締まって味の濃厚なチキンがウマい。昼からビールも進んだ。

イメージ 4
 これも店の名物ともいうべき、アーティチョークとスペアリブのスープ。
 どちらの素材ともじっくり軟らかく煮込まれ美味。
 スープの浸み込んだアーティチョークの付け根がやっぱり最大のハイライト。日本だと高価だという考えが頭から離れず、余計ていねいに食べてしまった。

 前日の昼いただいた野菜料理は正直うま味調味料がきつく、日本からやってきた料理家3人、ちょっと打ちひしがれたが、この店はオーケー。

 南部ベトナムより甘味が抑えられた分、うま味調味料を多用する傾向が強いのかもしれないというベトナム料理の専門家、伊藤忍さんの分析になるほどと思ったり。

 インドでも「ビリヤニ」や「シークカバーブ」にAJINOMOTO入れている店があるので、油断できない。こういう世界進出は、私はイヤだ(ちなみにインドでAJINOMOTOは「CHINESE MASALA」と呼ばれ、中華系アイテムによく使用される。ゲンナリだ)。

 この後、ダラットから中部ベトナムの大都市ダナンへバス移動。
 そこからタクシーでホイアンに向かった。

《このブログを書いているときのBGM》
JACKSON BROWNE『RUNNING ON EMPTY』(1977)
 かなりヒットした覚えのあるアルバム。私の中ではやや印象が薄いのだが…。
http://www.youtube.com/watch?v=jC-pkV1s0Zc
 タイトルナンバーはライヴ。私の好きなデヴィッド・リンドレーのラップスティールも冴えまくっている。

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!



1月某日

 インド人、特に北インドの方々のソウルフードといえば「ダールカレー」(挽き割り豆の軽いスパイス煮込みカレー)を真っ先に挙げなければならないだろう。

 私も、よく作って食べる。一番多いのは、かんたんに煮えて風味も好みな「ムング・ダール」(緑豆の挽き割り)のカレー。

イメージ 1
 最近の私にしては珍しく玄米ではなく、ジャスミンライス。たしか玄米を切らしたからだと思う。
 ムング・ダールのカレーはライスにもパンにもよく合うので、重宝だ。

 ダールカレーの味つけはクミン・シード、ターメリック、赤唐辛子粉、ギー、塩が基本。ニンニク、タマネギなどはスタイルによって入らないことも。コリアンダーのパウダーやガラム・マサラは基本的に使わない。

 ライスやパンもイイのだが、思いついてペンネをゆでて、ダールと和えてみた。北インドで「パスタ・マサラ」などと呼ばれる家庭料理(オールドデリーの市場あたりに行くと、ショートパスタはふつうに売られている。マサラ風味で食べるのだ)のアレンジだ。

イメージ 2 
 グリーンは香菜。ダールカレーは前日作ったものの余りを活用。
 
 見た目は冴えないが食べたら美味だった。
 これは使える。

《このブログを書いているときのBGM》
THE POLICE『REGGATA DE BLANC』(1979)
 邦題『白いレガッタ』だが、要するに「白人レゲエ」という意味だろう。70年代末から80年代初頭、東京で髪の短いバンドは皆、多かれ少なかれポリスから影響を受けていたはず。
http://www.youtube.com/watch?v=MbXWrmQW-OE
 このギターリフ、カッコいい。アンディ・サマーズ、バッキングがウマい。

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!



↑このページのトップヘ