カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2012年11月

10月26日

 前回の続き。

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 下に南インドのカレー・リーフ・ライス。上は左から南インドのハヤトウリのマサラ、北インド風ジャガイモとピーマンのサブジ、北インド風カリフラワーの生クリーム煮込み。

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 左上から時計回りに、「コリ・ワルワル」(南インド式チキンの揚げ炒め)、南インド風ゴーヤーのマサラ・フライ、南インドを代表する家庭惣菜「ビーンズ・ポリヤル」、そして南インド風ベジタブル・ビリヤニ。

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 左は白いパラパラご飯に南インドを代表するスープカレー「ラッサム」をかけたもの。サラサラ、シャバシャバだ。
 右は南インドのフィッシュカレー「ミーン・コロンブ」をご飯にかけたもの。

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 上が南インド風マトン・ビリヤニ。トマトベースのマトンカレーの炊き込みご飯。
 下は南インド、ハイデラバード風のチキンカレー「ラガーン・カ・ムルグ」。

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 マトンカレー好きなツアー参加者のため、特別に作っていただいた南インドのマトンカレー。

 南北インドの料理がうまくミックスされているが、やはり圧倒なのは地元である南インド料理という印象。チェンナイ最後の夜にふさわしい饗宴となった。

《このブログを書いているときのBGM》
JERRY GARCIA『REFLECTIONS』(1976)
 たしか3枚目のソロアルバム。当時のデッドのメンバーも全員参加して、デッドの作品のようでもある。
http://www.youtube.com/watch?v=Es2mEhIdQDc
 アラン・トゥーサンの曲。いつもながらレイドバックしていてカッコいい。

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!





 
  

10月某日

 ちょっと前のレポート。

 初のインド旅行を控えた方とともに、西新宿の隠れ名店「コチンニヴァース」を訪問。

 コチンというのは南インド、ケララ州の古都の名前だが、ケララ料理のみならず、より幅広く独自の個性にあふれた南インド料理を提供してくれる。
シェフはもともとケララ生れだが、チェンナイにある南インド最高なホテルの1つ「タージ・コロマンデル」にある素晴らしい南インドレストラン「サザンスパイス」(私のクッキングスタジオも同名で光栄だ)などでも腕をふるっていた。百戦錬磨である。

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 まずは「オニオン・パコラ」。
 ヒヨコ豆の衣のスパイシーなタマネギかき揚げ。北インドだと衣をふんわりさせるのだが、ここは完全に南インド式のクリスピーな南インドスタイル。フェンネル・シードやショウガのみじん切りも使われており、私が作るときとほぼ同じ仕様。さすがの美味で、ビールにもよく合った。

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 ホウレンソウのクートゥ。
「クートゥ」というのは、挽き割り豆やココナッツ・ミルクのマイルドな煮込みだが、ここのはかなり個性的。汁気があまりないホウレンソウとチャナ・ダールのトロトロ炒め煮込みで、ココナッツ・ミルクは感じられない。
 深い味わいがクセになる名物メニューの1つだ。北インドの「パラク・パニール」や「サーグ」のカレーに対する南インドの回答のようでもある。
 今日は刻んだピーマンも入り、さらに風味がアップしていた(青唐辛子の仲間でもあるピーマンをインド料理に使うとバツグンの効果を発揮してくれることがある。これはその好例)。

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 エッグ・パローター。
 ケララ風の精白した小麦粉を渦巻き状のミルフィーユ生地にした薄焼きパン「パローター」(全粒粉の「パラーター」ではない)を溶き卵にくぐらせ、鉄板で焼いた軽食。
 これまた南インドならではのメニューだが、あまり日本で見かけない。カレーと合わせても、そのままいただいてもおいしい。

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 以前、ダンチュウdancyu誌の取材で伺ったときにもクートゥなどとともに。その切れ味鋭い完成度に唸った「フィッシュカレー」。シーフードに強い南インドらしく、魚やエビを使ったメニューが充実しているのもうれしい。
 取材時とはさりげなく味つけを変えてあるらしかったが、ココナッツ・ミルク控えめで、酸味と辛味が前面に出た本場の味わいは健在。バツグンだった。

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 今回、個人的に最も印象的だった「トマト・ライス」。
 南インドならではの混ぜご飯なのだが、おそらくトマトではなく、タマリンドで酸味を出している気がした(シェフは「今日はちょっと味つけを変えたけど、おいしいからぜひ食べてみて」といっていた)。またサフランも入っていたりして(ふつうトマト・ライスには使わない)、完全に初めてのスタイル。ヤラれたという感じ。独特の酸味と香りがクセになりそうだった。

 どのアイテムとも伝統的な手法とシェフならではの創意がうまくドッキングしていて、巷の南インド料理とは一線を画している。私の好きなテイストだが、ある意味、中上級者向けのインド料理ともいえる。とはいえ、予備知識がなくとも十分エンジョイできるから、ご安心を。
 席数が少ないので、予約して伺うのがいいだろう。
http://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13056242/

《このブログを書いているときのBGM》
GEORGE HARRISON『ALL THINGS MUST PASS』(1970)
 今日はジョージの命日。ブライアン・ジョーンズらとともに、私がインドに関わるきっかけを作ってくれた1人だ(世界中のインド好きには同じ人がたくさんいるだろう)。どうもありがとう。
http://www.youtube.com/watch?v=3VUIB41EUFA
http://www.youtube.com/watch?v=MqUYMaQ_Bk8&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=B46rjU_q_cM&feature=related

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10月26日

 今夜がチェンナイ最後の夜ということで、夕食は、超高級ホテルのブッフェに。

 やはり超高級ホテルである「タージ・コロマンデル・ホテル」の名物レストラン「サザンスパイス」で南インド料理だけの饗宴にしようかとも思ったが、昼からずっと南インド料理オンリーになるので、美味な南北インド料理をスタイリッシュなムードで食べられる「ハイヤット・ホテル」のレストラン「スパイス・マーケット」に行くことにした。

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 スタイリッシュなロゴ。写真のブレもイイ味わい?

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 タンドゥールのセクション。
 オープンキッチンが複数あり、趣向を凝らしたインド各地の美味を楽しめる仕掛け。
 意外とインド人客が多く(というか、ほとんどがそう)、インド富裕層のパワーを見せつけられた(申し訳ないが、そうは見えない人が多かったのだが…)。

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 私はいつもブッフェでは、最初にスープ(ほかのツアー参加の皆さんは違っていた)。この日は「ドラムスティックのスープ」で、まさに南インドならではの美味。スタートがこれだと期待できる。

 その後、サラダ系のセクションから「パニール(インドのカッテージチーズ)の炭火焼きとタマネギを和えたサラダ」「未熟な生マンゴーのサラダ」「ニンジンのサラダ」「チャナ・スンダル(南インド風ヒヨコ豆のスパイシー和えもの)」をビールとともに。生野菜系メニューが充実しているのも、五つ星ホテルならでは。

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 上は南インドの「ベジタブル・ビリヤニ」。下はやはり南インドの「カレー・リーフ・ライス」。すりつぶさない生葉を炒めてたっぷり混ぜるというやり方。どちらも秀逸。南インドはライスメニューが強いのだ。

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 インド屋台系スナックの超人気メニュー「パニプリ」もその場で作ってくれた。セモリナのミニ・プーリの中にスパイスをまぶしたマッシュポテトを詰め、ミントとタマリンドのソースでパクリと食べる。ここではミント・ウォーターとタマリンド・ソースを一つのボールに混ぜて供してくれる。2つ別のところが多いので、新鮮な感じ。もちろんおいしかった。

 こんな感じで多彩な味わい、そしてアッパーかつスタイリッシュなムード。昨日のバナナの葉定食とはえらい違いだが、どちらも南インドならではの食の世界である。

 さらに宴は続く。

《このブログを書いているときのBGM》
THE GRATEFUL DEAD『AMERICAN BEAUTY』(1970)
 音もジャケットもバツグンな名盤。全編心地よい。
http://www.youtube.com/watch?v=V4SqDx1vi4c
 オープニングの気持ちいい曲。

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10月26日

 南インド、チェンナイにあるベジタリアン料理の人気店「アンナラクシュミ」での豪華ランチ、前回の続き。

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 変わりご飯攻めの第1弾。左に、たっぷりの生カレー・リーフの葉をすりつぶしてスパイスとミックスした「カレー・リーフ・ライス」、右に粗砕きしたカシューナッツとギーの炊き込みご飯「カシューナッツ・プラオ」。南インドと北インドの饗宴だ。

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 しばらくするとカレー・リーフ・ライスの上に何やらかけてくれた。「ニーム」(インドでは枝を歯ブラシになるなど、薬効の高い植物。アーンドラ・プラデーシュの正月にも欠かせない)の花を揚げたものらしい。ほろ苦い風味とカリッとした食感がバツグン。

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 今度はポテッとしたものを盛ってくれた。「サンバルライス」である。アマチュアの方は、ご飯とサンバル(南インドを代表するベジタリアンのカレー。これがおいしい南インドレストランは東京に少ない)の割合をこの写真から参考にするといいだろう。

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 ここで、グラスに入った「ラッサム」(「サンバル」と双璧のベジタリアンカレー。滋養たっぷりの酸味の強いスープカレーだ)。いつも、ちょっとしょっぱいけどウマい、という感想だが、この日も同じ。きれいなグラスに入れたドリンクタイプのラッサム、インドだと高級ホテルなどで出されるゴージャスなスタイルだ。

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 これはサンバルをカレーの上にかけたもの。サンバルの具はカボチャだった。これは外食ではちょっと珍しい。さすが家庭料理の高級店。
 わざわざサンバルライスとは別に供されることともに、透明の器も不思議だが、ここはインドである。

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 締めの「カードライス」。ヨーグルトのミックス・ライスだ。この店ではいつも、すりおろしのニンジン、刻んだ香菜のほか、ザクロをトッピングしてくるのだが、これが美しい。
 ザクロをよく料理にあしらうのは、どちらかといえば北インドの流儀。日本でもマネしたいが、ザクロが手に入りづらい上、高い。

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 スイーツもご飯をミルクで煮込んだ「パヤサム」。ミネラル豊富な黒砂糖を使うので、色もクリーム色。

「ライス」がキーワードの豪華なベジタリアンのランチ。私たちが入店したときは静かだったのに、気がつけば店内は満席。さすが人気の高級店だ。ごちそうさま。

《このブログを書いているときのBGM》
JIMI HENDRIX EXPERIENCE『ELECTRIC LADYLAND』(1968)
 本日はジミ・ヘンドリクスの誕生日。生前、きちんとしたスタジオアルバムは3枚しか出していないが、その3枚目でおそらく最高傑作。バラエティに富んだ楽曲と抜群の演奏で、いうことなし。
http://www.youtube.com/watch?v=oMuCuCFfMoI&feature=fvsr
 音はわるいが、雰囲気のいいビデオ。イントロから盛り上がる超名曲。
http://www.youtube.com/watch?v=ECBaRyvbqHQ&feature=fvst
 ディランのカバーだが、こちらの方が好きだ。ブライアン・ジョーンズがパーカッションで参加。後半、浮遊するスライドからワウ気味のソロに展開するところなどゾクゾクする。

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10月26日

 マハーバリプラムからバスで2時間弱、チェンナイに戻る。

 ランチはカーンチープラムの「バナナの葉ミールス」とは異なるベジタリアンの世界をツアー参加者に満喫していただきたいと思い、名店「アンナラクシュミANNALAKSHMI」へ。

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 昔あったところから移転。今はオフィスビルの2階にある。昔の方が雰囲気があって好きだ。

 この店ではおなじみ、秘伝の薬草ワイン(といってもアルコールは入っていないらしい)「アンブローシア」をいただいてから食事がスタート(100ルピー。昔は50ルピーぐらいだった。ちなみに今、1ルピーは1.5円換算)。

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 スウィートコーン・ベジタブルスープ。クリーミーな野菜スープに生の粒コーン、ニンジン、インゲンなどをプラス。日本の缶詰コーンとは別格の風味がイイ。こうした特製スープは、ほかの料理ともども日替わり。

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 最初に出てくる本日のターリー(大皿定食)の全景。
 カトゥリ(小さなボール)は左から「ダール・マッカーニー」(このツアーでもよく食べている、挽き割り豆の北インド風トマトクリーム煮込み)、「パニール・マッカーニー」(カッテージチーズの北インド式トマトクリーム煮込み)、「ダヒ(ヨーグルト)」「ウリのクートゥ(南インドのココナッツと挽き割り豆煮込み)」「オクラのゴマ・パコラ(ヒヨコ豆にゴマを混ぜたクリスピーな衣の揚げもの)」。
 左下には、自家製マンゴーのピクルス、自家製未熟な生マンゴーを刻んだ「トック・ピックル」、ゴングラ・ピックル(アーンドラ・プラデーシュ州のゴングラという青葉を使ったスパイスオイル漬け)。
 パンは全粒粉の揚げパン「プーリ」、その下に「香菜とアジョワン風味のパラーター」。

 このように南北インドがミックスされたベジタリアンの家庭料理が一つの大皿に組み込まれ、日替わりで供される。

 私は10回近くこの店に来ているが、毎回、インド中のベジタリアンを網羅した異なるメニューに出会えて、飽きることがない。

 で、とりあえずはこの状態で食べ始める。すると、おかわりとアイテム追加の嵐がやってくる。
 特に注意すべきは「ライス」。この店に限らず、ターリーの場合、最初にパン類、それからワンクッション置いてからライスがサービスされるのが普通。
 だからライスがないからといってガッカリしてもいけないし、パンとカレーばかりガツガツ食べるのもマズイ。
 
 つまり、いきなりエンジン全開にしてはいけないのだが、すでに遅し。ツアー参加者全員、フルスロットルでブレーキが効かない状態に突入していたようだった。

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 さっそく出てきた追加アイテム。「サザンスパイス」のレッスンや、私の著作にもレシピが出ている「ポテト・ロースト」。南インド風ジャガイモのスパイス炒め蒸しだ。北インドのサブジではない。ホッとする味わいの家庭的なメニュー。

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 これも追加。「ガーリック・ナーン」といわれたが、これは薄っぺらいし、フワフワしていないし、ガーリック風味の「マイダ・ローティ(精白小麦粉の薄焼きパン)」と呼ぶのが適切だろう。もちろん、これはこれでおいしかったが、デリーあたりのイスラーム・シェフが見たら嘆きそう。

 この後、この店ならではの「変わりご飯攻め」にさらされるのだが、それは後ほど。

《このブログを書いているときのBGM》
CHICO HAMILTON『THE MASTER』(1973)
 西海岸系ジャズ・ドラマーの巨匠の作品だが、なぜか全編リトル・フィートとのコラボ。
http://www.youtube.com/watch?v=4N_uSdhlZ8U&feature=related
 ローウェル・ジョージのスライドとビル・ペインのピアノ丸出しのフィートなチューン。最後にチラリと聴こえるポール・バリアーのソロもイイ。

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