カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2012年08月

10月14日(日)

「日本人シェフの、日本人シェフによる、インド料理ファンのためのイベント」それが『LOVE INDIA 』だ。

 おかげ様で、初めての開催だった昨年、多少の不手際はありつつも、500人以上の皆さんに特製ターリーをお召し上がりいただき、一流ミュージシャンによるインド音楽のライヴ、インド古典舞踊家のダンス、そして極め付きはシェフ総出のトークショーなど、大いに盛り上がった。

 今年は「スカイツリー」に近い「すみだパークスタジオ」「すみだパークギャラリーささや」を会場に、より盛り上がったイベントになる模様。

★画像をクリックすると大きくなって読みやすい。
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 書店で買えない「公式ブック」や「LOBO INDIA」というインド料理シェフたちによる食材テーマ別の対談集全10冊なども会場で販売するし、昨年は会場の都合であまりできなかった物販類もグッと充実の予定。

 限定チケットは「サザンスパイス」で購入可能。
10月8日城南島海浜公園での「アジアンBBQパーティ」ともども、ぜひご予約いただきたい。

★『LOVE INDIA』公式ブログはコチラ

《このブログを書いているときのBGM》
LED ZEPPELINの4枚目
 たまには定番の1枚を。とにかく何回聴いても聞き飽きないし、以前は夏には暑苦しいと思ったが、そうでもない。まるでポップでないのに売れまくったのもスゴイ。
http://www.youtube.com/watch?v=fl6s1x9j4QQ
 この曲の複合リズムは実にインド音楽的だ。ドラムでリズムを取るのと、ギターでは、まったく違うビートになる。

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!



8月某日

 ただ今、南インド南西のケララ州は1年で最も盛大な文化的お祭り「オーナム(オナム)」の時期だそうだ。

★Wikipediaによる「オナム」の解説はコチラ

 ヒンドゥー神話に出てくるアスラ(魔族)の王「マハーバリ」を称える祭りが起源だそうだが、このマハーバリという名前、10月の「インドツアー2012」で訪れる南インド、タミルナドゥ州にある海辺の街「マハーバリプラム」の語源にもなっている。

 ちなみにマハーバリプラムでは豪勢なシーフード料理に舌鼓を打つ予定。今から期待と妄想が膨らむ。

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 マハーバリプラムにある「海の家」風お手頃レストランにて。その日獲れたシーフードを見せてくれ、客は好みのものをチョイス。さまざまな調理法で楽しむことができる。

 もちろん、ケララではさまざまな料理を作ってお祝いするようだ。バナナの葉の上に盛るのが、うれしい作法である。

 オーナムに作る代表的なカレーの1つに、さまざまな野菜をヨーグルトとココナッツ・ミルクで煮込むカレー「アヴィヤル」がある。

 今や、南インド全土で食べられるポピュラーなカレーだが、ケララと、タミルナドゥそのほかで作るアヴィヤルではレシピがやや異なる。

 かんたんにいえば、ケララ式アヴィヤルは汁気少なめ、タミル型はカレーソースが多い。

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 ケララ式アヴィヤル。2010年の「インドツアー」、コーチンの料理教室にて。

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 こちらはタミル式アヴィヤル。「サザンスパイス」にて。

 タミルのアヴィヤルをアレンジした一例が、『カレーな薬膳』(晶文社刊)にある「冬瓜のヨーグルトカレー」。

 冬瓜は身体のむくみや余計な熱を取ってくれる。夏にピッタリの野菜である。
 ヨーグルトも同様に体の熱を取り、整腸作用も強い。夏にいいこと、間違いなしだろう。
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 白いご飯にかけるのが南インド流。ナーンはダメ、合わない。

 こんな風に祭りという歳時記からカレーのあれこれが連鎖するのも、インド料理やインド食文化のおもしろさ、奥深さである。

 それにしても歳時記的な感覚か、東京に忙しく暮らすと忘れがちだ。大切にしよう。

《このブログを書いているときのBGM》
SYD BARRETT『THE MADCAP LAUGHS』(1970)
 まさに孤高の天才にふさわしいファースト・ソロ作品。ボーカル、ギター、すべてがバツグン。初期ティラノザウルス・レックスぽくもある?(というより、マーク・ボランが影響を受けたのだろうが)。
http://www.youtube.com/watch?v=PQiNWIibEIc
 今聴くとけっこうポップな作風だ。

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8月某日

 都内某インドレストランでバツグンにおいしい「マトン・マサラ」をいただいた。

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 これがその「マトン・マサラ」。マトンカレーよりも汁気は少なく、色は濃い目。風味も濃厚で、スパイス感、肉のウマみ、タマネギやトマト、ニンニク、ショウガなど香味香辛野菜の味わいなど、どれもいうことなし。

 上にのっているのは香菜、ショウガ、そして青唐辛子。トマトのみじん切りも混ぜ込んである。これらトッピングのチョイスと切り方もまったくの本場式であるのが、ニクいところ。

「マサラ」という料理の基本概念や具体的レシピについては、新刊『新版 誰も知らないインド料理』(光文社 知恵の森文庫)にきっちりと書かれているので参考にしていただきたい。

 簡単にいえば、汁気の多いアッサリタイプが「カレー」、濃厚なカレーソースで風味や香りもより濃いのが「マサラ」だ。使うタマネギもマサラの方が多いのが普通だ。

 例えばインドのノンベジ家庭で来客などの際出されるのは「チキンカレー」ではなく「チキンマサラ」。つまり「マサラ」の方がごちそうなのである。

 当然、本場インドのレストランでは「マサラ」メニューには気合を入れて取り組むのが普通であり、とりわけ、北インドのノンベジレストランでは「マサラ」料理を看板メニューの1つにしているところが少なくない。

 しかしながら、日本のインドレストランの場合、本場インドと同じように美味な「マサラ」料理を出そうとする店はあまりない。
 メニューに「カレー」と「マサラ」を並べても、その本当の違いやそれぞれの魅力、おいしい食べ方を理解しているお客も少なく、思ったほどのリアクションがないからかもしれない。

 私の場合、たまに巷のレストランで「マサラ」を頼んでも、たいていは満足できない。スパイスのノリが弱く、味が薄かったりで、名ばかりのケースがほとんどなので、結局、「自分で作った方がいいや」ということになる。

 専門的には、同じ「マサラ」でも、比較的汁気の多いタイプから(ライスで食べたいときはこのタイプがよく合う。私が『新版 誰も知らないインド料理』で披露しているのも、どちらかといえばこちらに近い)、素材にカレーソースが絡みつくようなドライなものまで、さまざま。そうした違いの演出や味つけの妙味など、本場のマサラには深い魅力が数多い。
 
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 マトン・マサラの場合、生のマトンを「マサラ・グレービー(マサラ用のカレーソース)」に入れて煮込むと軟らかになるまで時間がかかる。そこで、マトンカレーに入っているマトン肉を、マサラ・グレービーで炒め煮込みすることで仕上げるのが普通。この店でもそのようにしていた。マトンにしっかり絡みつく濃厚なソース。スパイス色をした油の浸み出し具合もインド的。ナーンでぬぐうようにして全部いただいた。

 この店ではないが、例えば西荻窪のパキスタン料理店「ラヒ パンジャービー・キッチン」などは、おいしいマサラ料理がいただける数少ない店だ(メニューでは「カレー」となっているが、実際はマサラタイプの料理が少なくない)。機会があれば、ぜひ本場の味を体験していただきたい。

《このブログを書いているときのBGM》
THE SISTERS OF MERCY『FLOODLAND』(1987)
 デビュー盤ではゴシックロックの典型だったのが、ちょっと違うムードもあるセカンド。
http://www.youtube.com/watch?v=IuezNswtRfo&feature=fvwrel
 なぜかインド丸出しのPV(旧ボンベイか?)。

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8月某日

 遅ればせながら、近くのコンビニのレジ横に置いてあったので、まんまと誘いに乗り、買ってしまった。

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「カップ焼きそば」の類を食べるのは仕事も含め10年ぶりかそれ以上だろう。

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 混ぜ方もへたなのか、何となくさびしい感じ。

「油断ならない辛さ!」とあるが、なるほどかなり辛い。
 ただし、その辛さは、インドやタイ料理の持つナチュラルで体の奥底から湧き上がるホットさからはほど遠く、いわゆる抽出型の「唐辛子エキス」を使ったような人為的ともいえる刺激性のあるもの。で、食べ進めるに従い充実感ではなく、ヒリヒリとした痛みに似た感覚だけが口の中や周りに強く残っていった。

 トレブルばかり効かして中低音のどっしりしたサウンドがないヘタクソバンドのようなものか。

 久しぶりに食べ、うま味調味料のパワーの強さにも改めて驚いたし、たいした量がないのに500キロカロリー以上あるのも印象的だった。

 結局、私のような者は、この商品の購買対象として、お呼びでない感じがした。

 今回、コンビニで手の届くところにあったから買ったが、店に出向いて注文しなければならないマクドナルドのインド系新商品は、仕事絡みの必要性は感じつつも、おそらく買わないだろう。
 インターネットにあるいろいろな人の試食レポートを眺めるだけで十分だ。

《このブログを書いているときのBGM》
ERIC CLAPTON『THERE'S ONE IN EVERY CLOWD』(1975)
 邦題『安息の地を求めて』。自伝を読み、人物的評価は私の中で最悪だが、この作品ぐらいまでは好きだ。
http://www.youtube.com/watch?v=9xh56fI_HSg
 このギターソロはイイ。今聴くと、全体としてJJケイルそのままという感じ。

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10月20日出発

 先週申し込みを締め切った「インド食い倒れツアー2012」。
 おかげ様で、最低催行人数をクリアし、ツアーの実施が正式決定したことをご報告しておく。

 今回の目的地は大きく2ヶ所。チェックすべき代表的な料理それぞれベスト3とともに紹介しよう。

【ゴア】
 1960年代初頭までポルトガル領。マカオとともにポルトガルのアジア拠点であり、ザビエル、天正少年使節、ヴァスコ・ダ・ガマ、コロンブス、マゼランなど多くの人たちが訪れた歴史的な地でもある。
 そうした背景の中、今も伝統的なインドヒンドゥー文化とクリスチャンなムードが不思議に交錯する唯一無二の個性がゴア最大の魅力。サリーではなくカラフルなワンピースを着た女性が街を闊歩する。

 食についても多彩かつ個性的だ。キリスト教の影響を受けたインドでもここだけというメニュー、南インドぽいが、やはり独特な個性を持つヒンドゥー料理がやはりはずせない。シーフードの新鮮さにも舌を巻く。

 ぜひ今回のツアーでチェックしたいゴアのベスト3は

「ゴアフィッシュカレー」→ゴア人のソウルフード。白身の切り身、イワシのぶつ切り、サメなどまで、さまざまな魚をカレーにする。たいていタイのレッドカレー的に辛い。そしてウマい。

「ポークビンダルー」→私『今日の料理 ビギナーズ』誌7月号で新作レシピを発表したし、既刊『カレーな薬膳』(晶文社刊)にもレシピがある。さらには知己でもある「銀座デリー」「銀座ナイルレストラン」など有名レストランのオーナーシェフも次々新作レシピを発表するなど、私の周りでは、この夏ちょっとした「ポークビンダルーブーム」だった。ぜひ本場でホンモノの味わいを私も再チェックしたいと思っている。

「ゴアソーセージ」→日本で絶対食べられないという点でカレーではないが挙げておく。「チョリソー」のインド版だが、本家とは異なるスパイシーさ。そのままグリルするほか、さまざまな料理にも使う。「ゴアベーコン」も日本になく、食べたい。

 ほかにも「シュリンプ・バルチャオ」「カルディーン」「カフリアル」「ソルポテル」「チキン・シャクティ」など、日本にはない要チェックのカレーが目白押し。ゴア独特の「マサラ」(その多くは酢を使って混ぜる)も見逃せない。

 インド有数のリゾート地でもあるゴア。そこであえて食べまくり。そして地元の料理教室で秘伝の味を教えていただこう。もちろん水着を持って行ってもオーケーだ。

【南インド、タミルナドゥ北部】
 日本でその名の知られてきた「南インド料理」だが、そのメインストリームはあくまでタミル料理。ケララやアーンドラ、カルナータカではない。南インド料理の魅力を正しく理解するには、まずタミルナドゥ料理をエンジョイしよう。
 タミルナドゥ州の州都チェンナイは南インド最大の都市。伝統的な家庭料理からクリエーティヴなホテルの創作メニューまで幅広いチョイスができる。食器や調理器具などのおみやげもここで買うといいだろう。
 マハーバリプラムはチェンナイから南に車で一時間強下ったビーチリゾート。ゴアと似ているところがあるが、もっとヒンドゥー的で海岸寺院など世界遺産も多い。ここではシーフードを満喫する予定。鮮度はもちろん、調理法に注目だ。
 マハーバリプラムから内陸に入ったカーンチプラムはヒンドゥー寺院の寺町。ローカルなヒンドゥー料理にも期待しよう。寺院では短パン等禁止なので、ツアー参加者各位は要注意。

 今回のツアーでチェックしたいタミルナドゥの味ベスト3は

「サンバルとラッサム」→日本の南インドレストランのそれらと、本場のがいかに異なるか。皆さんに体験していただきたい。ポイントは濃度と香りだ。私の料理教室でもチェックは可能。

「ティファン類全般」→前の「サンバルとラッサム」ともども、1アイテムに絞れず反則だがしょうがない。ドーサ、イドゥリなどのほか、ポンガルやウプマなども要チェック。いっしょに添えられるチャツネの素晴らしさにも感動したい。

「チェティナッド・チキンあるいはチキン・ペッパー・フライ」→何かカレーを一つということで挙げるとしたら、やはり南インドを代表するこのカレーか(正確には両者は異なる)。スパイスたっぷりの濃いめのカレーソースがやみつきになる。

 ほかにも、タミルのフィッシュカレーをゴアと比較したり、おいしい南インドのコーヒーを味わうなど、見どころ、食べどころは多い。

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 チェンナイの名店「ムルガン・イドゥリ」のドーサとワダ、そしてチャツネ類。バナナの葉の上に。

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 南インドのビーチ近くで見られる光景。チェンナイにて。

 ツアー参加者の皆さんには、順次ビザ取得等の連絡が届くはず。ご一読の上、準備に励んでいただきたい。

《このブログを書いているときのBGM》
NEIL YOUNG『ON THE BEACH』(1974)
 ジャケットも素晴らしい、陰影あふれる名盤。長らく未CDだったが、今は入手可能。
http://www.youtube.com/watch?v=CKgj1FNToWY

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