カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2012年07月

7月某日

 ラッサムといっしょにカボチャのポリヤルも作った。

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 ポリヤルとは南インド、タミルやカルナータカ式野菜のスパイス炒め蒸し。北インドのサブジに対する南インドの回答みたいな基本的な料理である(この点、ケララのトーレンあるいはトーランは、南インド全体からすればかなりマイナーな存在といえる)。

 普通はマスタード・シード、カレー・リーフ、ウラド・ダール、ヒング、タカノツメ、そして仕上げにココナッツ・ファイン(本場では削ったココナッツの果肉)などを使う。

 が、カボチャにはマスタード・シードではなくフェンネル・シードやメティ・シードを入れるとバツグンに風味が増す。今回はそんなレシピを採用した(このレシピはラッサム同様、8月12日発売の新刊『新版 誰も知らないインド料理』(光文社 知恵の森文庫より)にも収録)。

 サラサラのラッサムに、ホッコリとしたカボチャの炒め蒸し。
 最高のコンビネーションといえよう。

《このブログを書いているときのBGM》
PATTI SMITH GROUP『EASTER』(1978)
 聴きやすい曲の多いサードアルバム。ブルース・スプリングスティーンとの共作ヒット「BECAUSE THE NIGHT」も収録。
http://www.youtube.com/watch?v=0peTfMOdDoo&feature=related
 ライヴの映像。彼女のファッションも決まっている。

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7月30日

 本日午後、待望の『新版 誰も知らないインド料理』ができあがり、ホヤホヤを我がスタジオで手にすることができた。

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 8月12日、光文社「知恵の森」文庫より全国発売。カラフルなカレーの写真で一杯の表紙に加え、オビもカレー色でナイスなデザイン。

 税込900円と文庫としては高価だが、カラー口絵が16ページある。大半がレシピの完成写真だから、これは絶対役に立つはずだ。

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『誰も知らないインド料理』のオリジナルは、今読み返すと稚拙な表現が随所に目立つ。ただし、その生まじめさや真摯な姿勢、そして何より今も色あせない情報力はなかなかなものだったと思っている。

 今回、よい部分やおもしろいところに磨きをかけつつ、レシピをメインに大幅に加筆改訂した。

 レシピについては、そのほとんどがオリジナルとは別もの。
 料理は同じだがレシピは異なるものもあれば、「ビリヤニ」や「マトンカレー」など、オリジナルになかった料理自体を加えた部分もある。

 もちろん文章にもかなり手を入れた。読みものとしても楽しんでいただけるはずだ。

 結果的に、1997年のオリジナルバージョンとは別の、独立した新刊ともいうべき一冊に仕上がったように思う。

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 オリジナルを読んだ事のある方、そうでない人、どちらにもおすすめだ。読んで絶対に損はさせない自信がある。

 ということで、後10日ほど楽しみにお待ちいただきたい。

《このブログを書いているときのBGM》
PATTI SMITH『DREAM OF LIFE』(1988)
 元MC5の敏腕ギタリスト、故フレッド・スミスと結婚し(94年に死別というのが切ない)、いったん引退していた彼女のカムバック作品。
http://www.youtube.com/watch?v=W8C9U7pMvmc
 マザー・テレサにインスパイヤされて作ったという曲。ジョン・レノン的メッセージが気持ちいい。

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7月某日

 完熟があったので、ベジタリアンのスープカレー「ラッサム」を作ってみた。
 
 トマト猛暑で食欲がない時も「ラッサム」があれば、それだけでいい。そんな風に思わせるのは、さすが、南インドを代表するカレーだ。

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 チュニジアで買った器に入れてみた。
 
 日本のインドレストランでは、トマトスープをスパイシーにしたようなラッサムが多いが、本場式はたいてい異なる。

 ニンニクとブラック・ペパーを効かせたシャバシャバのトマトスープで、ほのかにタマリンドや豆の香りが漂う。

 ご飯にかけるのが正式な食べ方だが、スープにしてアペリティフにする高級レストランもある。

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 一昨年、「インドツアー2010」の際、南インド・チェンナイの名店「アンナラクシュミ」でスープとして供されたラッサム。やはりサラサラ。

 今年の「インドツアー2012」でも、チェンナイやマハーバリプラムで本場のラッサムを満喫する予定。南インド料理ファンは要チェックだ。

★ラッサムのレシピは拙著『カレーな薬膳』(晶文社刊)ほかをどうぞ。『カレー大全~カレー伝道師の160話(講談社)』には、珍しい「チキン・ラッサム」のレシピを収録した。こちらも要チェック。

《このブログを書いているときのBGM》
KATE BUSH『THE KICK INSIDE』(1978)
http://www.youtube.com/watch?v=9F5XHZ0NPGc&feature=related
 ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアに見出された「天才少女」もデビューしてから35年近く経った。本日が誕生日だそう。

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7月某日

 先日、『LOVE INDIA 2012』(今年は10月14日開催だ)の実行委員長でインドとの関わりも豊富なTさんと話していたら、
「そういえば、ゴアに行くとフィッシュカレーは比較的安価で、しかも至る所でありつけるが、ポーク・ビンダルーを食べられる場所はある程度限定されそうな気がする」
 ということで一致した。

 そうなのだ。ゴアにおいてフィッシュカレーは北インドのダールカレー、南インドのサンバルみたいなもので、極端にいえば、そこら中で食べられる。使う魚も、高級なマナガツオやタイの切り身などから、小さなイワシ丸ごと一尾まで、さまざま。煮込み方や味つけ、辛さにもかなりの幅がある感じ。

 それに対して、豚肉を酢とスパイス、ニンニクなどでマリネしてから煮込むゴアのもう一つの名物「ポーク・ビンダルー」は、話が少々異なる。現地でも、案外おいしいのに当たらないし、そもそも、どこでも食べられる感じがしない。

 私も昔、入念に事前情報をゲットし(インターネットのない時代のことだ)、さらに現地でもいろいろな人に聞きまくって、おいしいポーク・ビンダルーを探し当てた経験がある。

 それは極端な例だが、フラリと街のノンベジ食堂に入っても、ゴア・フィッシュカレーはたいていメニューにあるが、ポーク・ビンダルーはあるとは限らない。それがゴアの実態だろう。

 10月20日からの「インドツアー2012」では、おいしいポーク・ビンダルーにありつき、現地の料理教室で習う事もテーマの一つにしている。貴重な経験になること必至である。

★ポーク・ビンダルーのレシピは拙著『カレーな薬膳』(晶文社刊)のほか、簡単バージョンを『きょうの料理ビキナーズ』7月号の豚肉料理特集などにも掲載した。

★「インドツアー2012」のスケジュール確認、問い合わせ、申し込みはこちら

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 ポーク・ビンダルーをトマト入りで(もともとトマトは入らないが、こちらの方がウマい)。

《このブログを書いているときのBGM》
JOHN LENNON『IMAGINE』(1971)
 ロンドンオリンピックの開会式が「ヘイ・ジュード」だったそうだが、ジョンが生きていて、彼にこちらを演奏してもらった方が、はるかにピッタリ来た気がする。なんてことを考えても、どうにもならないな。
http://www.youtube.com/watch?v=dlzrNKN3rZI
 これも名曲。ジョージのソロもワイルドでイイ。

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7月27日(金)

 某社開発会議で、「コルマ」「ビンダルー」「マサラ」「パラク・パニール」「ラッサム」など、本格インドカレーの試作品を食べまくる。

 どれもレベルが高いが、さらにステップアップするべく、10名以上の人間が食べる、食べる、食べる。 そして協議検討の真剣なまなざし。
 
 そんなハードな展開の合間、ランチで出された弁当が、「土用の丑」に一歩先んじて鰻だった。

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 こうしたメニューのチョイスにも、企業としてのセンスや度量、細やかな気遣いみたいなものが出るのだなと感心、そして納得。

 鰻は肉厚、脂ものってふっくら。添付のタレも無添加で芸が細かく、おいしくいただいた。

 ごちそうさまでした。

《このブログを書いているときのBGM》
THE ROLLING STONES『A BIGGER BANG』(2005)
 おとといがミック・ジャガーの69回目の誕生日だったことに敬意を表して。たしか現時点で、スタジオ盤とし「最新作」だと思う。なかなかイイ作品で好きだ。
http://www.youtube.com/watch?v=LVQmSEoO27M
 ベースをダリル・ジョーンズが弾いている時点で、私の中で「ストーンズは終わった」という感じもあるな…。変だと思う、ルックスも含め。

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