カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2009年02月

1月3日(土)

 南インド、チェンナイでのレポートより。
 アジ・フライといっても日本の定食屋のそれとは大違いだし、レバーのカレーにしても、当然、日本のカレーにレバーを入れればいいってものではない。

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 チェンナイ、T-NAGARのさる屋台で見つけたもの。いわゆるフライド・フィッシュだ。内臓やエラをはずして、きれいに掃除した魚に、スパイシーな衣をまとわせ揚げたもの。
 私の場合、写真を見ただけでビールが欲しくなるが、現地の人の多くはパラパラでホカホカのご飯のおかずとして食べる。

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 何となく妙な感じの写真だが、レバーのカレーである。やはりT-NAGARの屋台のレパートリーから。
 ココナッツ・ミルクとタマリンド、トマトなどを利かせたグレービーで煮込んである。
 調理法はもちろん、素材の鮮度がバツグンなので、バツグンにおいしい内臓料理がインド亜大陸には多い。

 南インドの屋台料理は表向きベジタリアン向けという感じだが、よくよく見ると、こんな風にノンベジタリアンの側面も少なくない。奥が深いのである。

《このブログを書いているときのBGM》
レッド・ホット・チリ・ペパーズ『マザーズ・ミルク(母乳)』。オリジナル曲の完成度はもちろんのこと、スティービー・ワンダーの「ハイヤー・グラウンド」、ジミ・ヘンドリクスの「ファイヤー」という2曲のカバーのカッコよさも尋常ではない。さすがレッチリという感じだ。

1月3日(土)

 南インド、チェンナイ滞在も後2日。気合を入れて食べまくろう。

 というわけで、朝はT-NAGARの菜食料理の名店「シュリ・バラジー・バーワン」で「ポンガル・ワダ」。

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 日本のインドレストランだとワダは単品でオーダーするのが通例。ところが本場では、他にもいろいろなメニューがあって飽きない。
 そうした代表的メニューの一つが、米とムング・ダールのマッシュ、あるいは堅めのおかゆというべきポンガルと組み合わせた「ポンガル・ワダ」である。

 ワダはすりつぶしたウラド・ダール(黒マッペ豆の挽き割り)の生地にカレー・リーフ、粒のブラック・ペパーなどを加え、ドーナツ状に形を整えて揚げる。食べるときはココナッツや香菜、トマトなどのチャトニを添える。

 ポンガルにはインディカ米、ムング・ダール(緑豆の挽き割り)の他、クミン・シード、粒のブラック・ペパー、カレー・リーフなどが入る。さらにはギーを加えた方がおいしい。

 この店のワダは中味フワフワ、外はサクサクとして、とてもおいしい。日本ではまずお目にかからないできばえである。

 ポンガルもギーの香り、軟らかく煮込まれた米とムング・ダールの食感、スパイスやハーブのアクセントがバツグンでバカウマ。

 そういえばポンガルを出す店は日本にはめったに見つからない。私の店はかつて特別メニューとして出していたのだが。

 脇に添えられたサンバル、ココナッツのチャトニ、香菜のチャトニ、そしてトマトとタマネギの煮込みチャトニもバツグンの味わい。これらの「タレ」が食べ放題なのもマル。

《このブログを書いているときのBGM》
アメリカのベストCD。「名前のない馬」「マスクラット・ラブ」「金色の髪の少女」「ベンチュラ・ハイウェイ」など、今も立派に通用するカッコよさだ。

2月某日

 ココナッツ・ミルクを利かせた南インドのチキンカレーを作って食べた。

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 鶏は骨つきを使うのが正統派。ここでは手羽元を使用。ココナッツ・ミルクの甘味とトマトの酸味のバランスが重要だ。

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 ミキサーで粗砕きしたダールをそぼろのようにして炒め、その後、さらにインゲンと和えるようにしてサッと炒めた「ビーンズ・ウシリ」。南インドのごちそう炒めものの一つである。

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 1日経ったチキンカレーとバスマティ・ライスでビリヤニもどきも作った。しかしながらおいしい、特に米が。

 私の場合、なぜか寒いときはノンベジタリアン料理の割合が増える。体がホッしているのだろう。

《このブログを書いているときのBGM》
ゲイリー・ルーカス『インプルーブ・ザ・シャイニング・アワー』(2000年)。元キャプテン・ビーフハートのバンドにいたギタリストのソロワーク集。スライドもうまいし、ときにインドっぽくもありで、かなりイケる。

2月某日

 冬においしいホウレンソウをムング・ダールの煮込みカレーに入れてみた。

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 ホウレンソウは色があせてクタッとなるまで煮込むのがインド流。しかし我々は日本人だから、もっと生っぽい仕上がりでも、それはそれでおいしいはず。本日は比較的よく煮てみた。

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 これはかなり実験食の濃いライス・メニュー。インドの最高級米であるバスマティ・ライスに16種類の雑穀を加えて炊いてみたら、意外としっくりきていて、おいしかった。

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 ホウレンソウ入りダールを雑穀バスマティ・ライスにかけてみた。

《このブログを書いているときのBGM》
スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン『アンソロジー』。文句なしにカッコいいファンク。歌心あふれるソウルフルなナンバー。どっちもイケるのがスライならでは。プリンスもこの人なしには語れないだろう、
 

1月2日(金)

 南インド、チェンナイの夜。インド古典舞踊のリサイタルを観た後、軽くメシ。というより、軽く飲み。T-NAGARにある「高級ホテル」に行ってみた。

 日本だとコンサート後の興奮冷めやらぬ中、居酒屋や焼き鳥屋になだれこめるのだが、インドではなかなかそうはいかない。夜中に軽く飲みのできる場所は貴重なのだ。

 私は初めて訪れたこのホテル、値段は高級なのだが(1泊シングル1万円弱)、正直、全体のムードはやっぱりインドって感じである。
http://www.benzzpark.com/
 何しろホテルの名前で「ベンツ」でレストランに「ポルシェ」とか「フェラーリ」とつけているのだから、日本の田舎のラブホテルのような感覚か。

 そうはいうものの、ここの料理は予想外にイケるものだった。
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 皮なしチキンに味つけした挽き肉を巻き込みグリルしたもの。インド料理ではない。野菜やソースの味わいも含めて合格点。

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 その実態にあまりに幅があることでは「謎のインド料理」と呼ぶにふさわしい「チキン65」。この店のは、タンドゥーリ・チキンのマサラに漬けた骨なしチキンにスパイシーな衣をつけて揚げたもの。ビールにピッタリでおいしいが、チキン65における私が最も好きなスタイルとは異なる。

 私の場合、揚げたものをさらにカレー・リーフなどと炒めるのが、チキン65の正統である。

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 パパイヤとはちみつ漬けのショウガのサラダ。予想外にシャレたメニューで、パパイヤやショウガ、ハチミツなどの素材の美味しい南インドのこと、マズいはずがなかった。

 ビールはキングフィッシャーの大瓶をふたりで3本。

 怪しいホテルにしては、なかなかだった。夜遅くまでビールが飲める点で、使える場所が増えた感じがした。

《このブログを書いているときのBGM》
ザ・ビーチ・ボーイズ『ペット・サウンズ』。村上春樹氏の音楽エッセイ本にも、このアルバムのことが出ていた。いまだに解釈が難しいロックアルバムの1枚だろう。


 

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