カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2008年06月

6月某日

 わが地元、西荻窪で人気のある中国料理店のひとつ「晏閣」で、久しぶりに食事。

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 黒ワラビの和えもの。長安料理の名物の一つらしい。黒ワラビを練り込んだ白滝状のものが珍しい。香菜もガンガン入っている。

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 鶏ナンコツの唐揚げ、山椒風味。唐揚げといっても、インドのフリッターである「バジ」や「パコラ」に極めて近い仕上がり。

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 サンラー刀削麺。酸味、辛味ともかなり強烈。

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 マーラー刀削つけ麺。タレが激辛。ラー油ベースか。薬味は香菜、ネギ、そしてピーナツ。麺にはキュウリ、レタスの千切りとなぜかもみのり。シコシコとした麺のコシを味わうにはもってこいの一品といえる。

 いろいろな意味で日本離れした店だ。「ラムのクミン炒め」もある。

《このブログを書いているときのBGM》
マハビシュヌ・オーケストラ『内に秘めた炎』(1971年)。「クロスオーバー」だとか「ジャズロック」といわれていた、ジョン・マクラフリン率いる超絶音楽集団だが、その実態は極めてインド音楽、それも南インド的。いわば変態エスノ音楽の先駆けである。

6月某日

 日本で坦々麺を広めたのは陳建民さん。彼は、麻婆豆腐同様、日本人にも食べやすいようなアレンジを施した。それは汁麺にしたことだった。

 だから、逆に中国の坦々麺は汁なしが本流らしい。

 そんな陳さんのお弟子さんの一人が営む店で汁なし坦々麺をいただいた。

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 こんな感じの見た目。かきまわして食べろとのこと。肉味噌、すりゴマ、ネギ、ラー油など。

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 かきまわすとこんな感じ。

 味はまあまあだが、客あしらいが最低の店だった。もう二度と行くこともないだろう。
 外食にとってサービスというのは、味と同じくらいに大事なのだ。

《このブログを書いているときのBGM》
 グレイトフル・デッド『ライウ・デッド』(1969年)。1曲目の「ダーク・スター」、これでもうキマり。スペーシーでスモーキーなジャムの極致だ。

6月某日

 宴のメニューの続き。

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 チャナ・マサラ。ヒヨコ豆のカレーだ。日本の北インド料理店でも、前述のアールー・ゴービーとともに、特に女性に人気のあるメニューといえる。もちろん本場インドでもポピュラーなカレーだ。
 ホクホクと栗のような食感のヒヨコ豆にマサラの風味が浸み込んで美味。

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 ポーク・ド・ピアズ。カリー番長のリクエストによるオーダー。さすがに目のつけどころが違う。「何で、ゴアやケララのカレーでもないのに豚肉なんだろう」という視点は重要だ。
 以前、デリーの五つ星ホテルのキッチンで、試作品で「ポークカレー」をいただいたことがある。それは非インド人の外国人客をターゲットにしたものだった。
 この店もおそらく日本人向けだと思う。マサラが利いて美味。だが、どうしてもゴアのビンダルーやケララの「シリア・クリスチャン」式カレー以外でポークを出されると腰が引けてしまう。これ以外にたくさんおいしいメニューがあるので、まあ、一度食べればいい感じだ。

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 この店、普通のナーンの他、ガーリックやキーマのナーン、パラーター、ローティなど、パン類が充実している。
 これは「ハンカチのように薄いパン」といわれるルマーリー・ローティ。東京でコレを出す店はまだ少ない。

 ほかにも、ニンジンのデザート「ガジャル・ハルワ」、卵を使わないアイスクリームの「クルフィ」などいただき、大満足の大満腹。

 メニューのバリエーションも豊富で、店の雰囲気、サービスもいい。ぜひ一度は訪れて損のないインド料理店といえそうだ。

《このブログを書いているときのBGM》
ロキシー・ミュージック『アヴァロン』。ココにも書いたが、ゴアで聴いたロキシーのカセットが最高だった。個人的にインドを感じるロッカーのひとつだ。

6月某日

 タンドゥールのバーベキューを中心としたスターターを食べ、ビールやワイン、シャンパンなどを飲んだところでメインのカレーと主食に移行。

 ちなみに写真の粒子がやたら粗いのは、暗いところでフラッシュなしで撮ったため。あしからず。

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 チキン・バター・マサラ。いわゆるバター・チキンに極めてよく似たお店、イチオシのカレーの一つだ。肉は香ばしく焼き上げたタンドゥーリ・チキン、それをトマトをベースにした甘酸っぱいグレービーでサッと煮ている。さらに青唐辛子、香菜などと生クリームなどの混ざったものをトッピング、二色カレーのようなユニークなルックスに仕上がっている。

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 サーグ・ゴーシュト。マトンとホウレンソウのカレー。ホウレンソウのカレーの場合、ホウレンソウがみずっぽくないことがチェック・ポイントの一つだが、これは十分に合格点。骨無しのマトンにも味がしみて、おいしい。

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 アールー・ゴービー。カリフラワーとジャガイモの香味炒め。個人的に最も好きな北インドのカレーの一つで、日本でもインドでも、非常によくオーダーする。この店は意外と家庭的な味わい。

 この店のカレーは、基本的にデリーの高級レストランの佇まい。例えば、現地の人気店である「モティ・マハル・デラックス」で食べられるカレーにニュアンスが似ている。私は好きだ。

【まだ続く】

《このブログを書いているときのBGM》
大西ユカリと新世界『実録 大西ユカリ・ショウ』。ナニワのソウル・レディによる壮観なライヴCD2枚組。笑止千万な「日本のR&B」とは一線を画した、本物の「日本のソウル」がここにある。

6月某日

 代々木でディープな魅力を発揮していたインド料理店アヒリアが「ゲートシティ大崎」というメジャーな場所に支店をオープンさせた。
http://r.gnavi.co.jp/a449120/

 そんな中、お店からのお招きを受け、同店代々木本店の取材経験のある編集者やカメラマンの方々、そして「東京カリー番長」の水野仁輔さんとともに訪問してみた。

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 前菜がいきなり豪華。「カバーブ・ジュガルバンディ」というもの。チキンのシークカバーブの周りから、さらにマトンの挽き肉を巻き、2種類のシーク・カバーブに仕立てたもの。

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 大きなエビのタンドゥール・バーベキュー、「タンドゥーリ・プローン」。

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 鶏肉を生クリーム・ベースのマサラに浸してタンドゥールで焼いた「マライ・ティッカ」。

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 オニオン・リングのスパイシーなフリッター、「オニオン・バジ」。衣はヒヨコ豆がベース。

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 マトン・ボティ・カバーブ。普通は骨付きマトンのタンドゥール・バーベキューだが、これは骨なしマトンのスパイシーなマサラ炒め。

 いずれも、店の気概、そして気合がビンビンと伝わってくる熱い味わいだ。

 店の雰囲気もまた気合が入っているし、適度なゴージャスさがいい。デリーあたりの高級レストランの佇まいに似ている。

-次回カレー編に続く-

《このブログを書いているときのBGM》
オールマン・ブラザーズ・バンドの4枚組アンソロジーCD『ドリームス』。「ステイツボロ・ブルース」のスタジオ・テイクほか、未発表曲も含め大いに楽しめる。

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