カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2008年05月

5月某日

 打合せを兼ね、さる料理雑誌編集者の方と三宿のブーランジェリー「シニフィアン・シニフィエ」へ。

 噂では聞いていたが、目下東京で、そして日本で最もおいしいパンの食べられるお店のひとつといわれるところだ。

 豊富に用意されたパン類はテイク・アウトはもちろん、イート・インのスペースもあるので
その場で、おいしいチーズやジャム、オリーブオイルなどといっしょにいただくことができる。

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 オリーブオイル、フェンネルのジャム、イチゴのジャム、チーズもついたプレート。ちなみにパンはスタッフの方がチョイスして、満腹するまでいろいろ食べられる「ミールス」スタイル。

 パンのおいしさは予想以上。中でもやはり、基本のバゲットが素晴らしい。

 オリーブオイルやジャムもこれまたおいしくて、まいる。

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 こちらはチーズ盛り合わせとのコンビネーションのセット。やはりパンは好きなだけ食べられる。
 パンもスゴイがチーズもバカウマ。ワインが欲しくなる。

 結局、ふたりで2回おかわりして、食べまくる。10種類近いパンをいただいたが、そのいずれもが異なる個性で素晴らしい。

 東京のパンは世界に誇れると最近よくいわれるが、まさにそんな印象。値段も一流なので毎日は無理だろうが、ハレの日のパンとして活用したい。


《このブログを書いているときのBGM》
1960年代末、ちょうどフリーなどと同時期に活動した「ジューシー・ルーシー」のアンソロジーCD。カントリーの大御所と同姓同名のスライド・ギタリスト(ラップスティールだろう)、グレン・キャンベルが中心になったブルース系ロックン・ロール・バンドだ。優れたオリジナルのほか、ハウリン・ウルフ、キャプテン・ビーフハート、オールマンの「ミッドナイト・ライター」など、カバーのセンスも渋い。

 南インドを代表する菜食カレーに「ラッサム」というのがある。
 別名ペッパー・ウォーターとも呼ばれるスープカレーで、普通はトマト、タマリンド、ニンニク、ブラック・ペパー、赤唐辛子、カレー・リーフ、トゥール・ダールの煮汁などを煮て作る。

 レシピは拙著『カレーな薬膳』に詳しい。
 http://www.excite.co.jp/book/product/ASIN_4794965710


「ラッサムはドロドロしていない方がおいしい」。
 これは10年以上前から私が唱えていること。この公式に当てはめると、日本の「南インド料理店」の多くが失格になる。ホント、ラッサムのおいしいインドレストランは日本に少ない。

 ラッサムがサラサラだと「飲むラッサム」に仕立てることができる。これはスープカレーというよりはスープであり、ウェルカム・ドリンクのようでもある。インドの特に高級南インドレストランでよく見られるメニューのひとつだが、日本にはあまりない。なぜならドロドロだからだ。

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 チェンナイの最高級ホテルのひとつで出された「飲むラッサム」

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 これまたチェンナイでいただいた「飲むラッサム」

 ライスにかけるのがラッサムの主たる役割だが、スープやドリンクとして飲むのもまたオツである。

《このブログを書いているときのBGM》
カーシュ・カーレイ『ブロークン・イングリッシュ』(2006年)。ニューヨーク在住のインド人タブラ、ドラム奏者にしてプロデューサーのソロ。インド音楽とエレクトロニクスのクールな合体が心地よい。

5月某日

 雑誌dancyuの最新号がフライ特集。

 その中で「ライターをはじめとして、食に関連した人間にはメンチカツのファンが多い」という一文を見つけ、まったくその通りと膝を打った。

 年齢のせいか、そしてメタボ対策という意味もあり、仕事以外で揚げものはあまり食べない私だが、メンチには心惹かれるものがある。

 その割りにおいしいメンチって少ないと思う。油切れがわるかったり、中がグズグズとしてうまみよりくさみが勝っていたり。

 地元である西荻窪の駅近くに「肉のニシジマ」というお肉屋があり、ここのコロッケ、そしてメンチがおいしい。

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 メンチは意識して薄く作ってある感じ。食べ口が軽く、しつこくないのがいい。しかもメンチならではの挽き肉の味わいもバッチリ。吉祥寺にある、行列のできるメンチで有名な「肉のサトウ」よりも、こちらの方が断然好きだ。

 ちなみにインドでメンチに似たものといえば、シャミ・カバーブか?
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 新宿のパキスタン料理店「カラチ」のシャミ・カバーブ。
 マトンの挽き肉とチャナ・ダールをボイルしてから、さらにスパイスなどと細かく挽き、揚げ焼きするという手の込んだレシピがシャミ・カバーブの特徴。一度ボイルしてあるのでたいへん食感が軟らかい。また、ゆでて肉のうまみが逃げているのかといえば、そんなこともない。インド亜大陸の肉料理の不思議さでもある。

《このブログを書いているときのBGM》
FUTON『ペインキラー』。タイ人どイギリス人の混成バンド。日本のパフューム同様、80年代テクノっぽい部分もあって好きだ。

 

私のサイトにアップしました。
「パンに合う菜食インド料理」というテーマでお送りします。
参加者の皆さんには、それぞれが召し上がるパンをご持参いただきます。
ご承知ください。


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ダール・タルカ。

 唐辛子やトマトとともにジャガイモは中南米原産の野菜だ。だからインドカレーの具材としては新参者といわれる。
 
 一説には18世紀以降になって、ようやくインドカレーの具として認知されたという。

 乱暴ないい方をすれば、現在のインドカレー世界においてジャガイモは北インド的食材、それもベンガルぽい雰囲気が強い。

 そうはいってももちろん、デリーやバラナシ、アグラー、ジャイプールなどにもジャガイモのカレーは多い。

 私が、デリーなど北インドのジャガイモ料理としてすぐに思い出すのが「ジーラ・アールー」そして「アールー・アドラキ」である。前者はジャガイモのクミン炒め、後者はジャガイモのショウガ風味炒めとと訳されようか。どちらもとりわけ日本人旅行者のよく訪れる中級以上のレストランにおける定番そして人気のメニューだ。

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 デリーの人気レストラン「モティ・マハル・デラックス」のジーラ・アールー。汁無しの香味炒めだ。ナーンやローティ、パラタといったパンで食べるとおいしい。

 ジーラ・アールーは日本のインドレストランではマイナーなメニューだ。ジャガイモの炒めものではお金がいただけないという気後れが店側にあるのかもしれないが、もったいない話だ。何しろ、きちんと作ったジーラ・アールーはバツグンにおいしいのだから。

《このブログを書いているときのBGM》
ジョン・コルトレーン『至上の愛』(1964年)。聴き込むほどに深い。リズム処理やフレージングがやっぱりインド古典音楽に似ている。 

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