カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2007年10月

10月某日

 昼飯にピビンパ。
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 目玉焼きがドーンとのり、その下にモヤシ、ホウレンソウ、ゼンマイ、ダイコン、ニンジンといったナムルがドッサリ。卵を除けばベジタリアンの食事であるのが、何となくうれしい。
 ワカメスープ、サラダ(ドレッシングがノンオイル)、オイキムチとカクテキ、さらにナムル2種類がピビンパとは別について800円は都内としては安いのでは。

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 食べるときはこんな風にグチャグチャに。

 卵といえば、例えば南インドだと卵カレーはこんな感じ。
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 食べるとき、ゆで卵をグチャグチャにつぶしてライスと混ぜたり、チャパティといっしょに食べるとおいしい。
 グチャグチャにしてグレービー(カレー・ソースのことだ)とミックスするのがおいしさのポイントなのは、韓国料理に通ずるものがある。

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 これは、あらかじめグチャグチャとつぶした卵をタマネギや青唐辛子と炒める、エッグ・ポリヤルという南インドのおかずメニュー。ここでもグチャグチャがおいしさのポイントである。

 卵をくずすとおいしさが生まれるのは、どの国の料理でも同じようだ。トロトロのオムライスが食べたくなってきた。

《このブログを書いているときのBGM》
 レッチリの『ワン・ホット・ミニット』。
 一般に評価が高くないが、私は好きなアルバム。デイヴ・ナバロの重層的なギター・サウンドがカッコいい。

10月某日

 さる取材で昼下がり、荻窪ナタラジに伺う。

 こちらが取材するのではなく、インタビューを受ける立場。
「どこか、ヴィジュアル的にインドやスパイスを感じさせるお店を」という取材先のご指定だったので、自宅にも比較的近いこの店にさせていただいた。

 自然派インド料理店と銘打つこのベジタリアン専門インドレストランは、今や銀座や青山にも店舗を構える繁盛店。おそらく、今の日本で最も勢いのあるインド料理店のひとつだろう。

 たしか、ナタラジグループでは、この店が元祖だったはず。今は立派な店構えだが、最初はこの近くの雑居ビルの2階でひっそり営業する店だった。

 ランチ・ブッフェをいただきながらの取材。特に「ロックとインド」みたいなことを熱く語ってしまい、自分としてはやや脱線気味かなとも思ったが、先方には受けたようでホッとする。

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 これは以前、この店に伺ったときのランチ・ブッフェ。左はカボチャのマサラ、下がジャガイモとカリフワラー、右にブラック・アイド・ピーとジャガイモのカレー。ナーンとサフラン・ライスが付く。

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 ダイコンのサンバルとサフラン・ライス。北インドの人が作ったサンバルというイメージ。

 ランチはブッフェがメインで4種類の料理にサラダ、ナーンやサフラン・ライスなどが食べ放題。連日、満員の盛況で人気の程がわかる。

 このレストラン、日本には珍しい、しかしインドや欧米では必須のベジタリアン専門という潔さがいい。
 料理のスタイルは基本的に北インド式で、なかなかゴージャス。ベジタリアンのインド料理をよく知らない日本人が「菜食」に対して抱く、貧相で単調な料理とは無縁だ。
 
 もうひとつ、私がこの店に好感を持つのは、厨房スタッフに日本人の方々がいらっしゃること。
 昔、私がいた頃のアジャンタとオーバーラップするのかもしれない。
 来店のたび、心の中で「頑張ってくださいね」とエールを送っている次第。

 こうしたベジタリアンのインド料理店が全国に広がれば、もっと日本の食のシーンもおもしろくなるはずだ。
 お肉好きの皆さんも、たまにはベジタリアンのカレーをぜひ召し上がれ。充実したひとときをすごせるはずだから。

《このブログを書いているときのBGM》
リチャード・ヘル『タイム』。わが心の師のひとり。バンド時代から今に至るまで、考え方からファッションまで影響は計り知れない。


 

 9から10月にかけて我が家にステイしていた、インド古典舞踊家シャイラジャ女史の手作り料理日誌より。おそらくこれがブログでご紹介するラストアイテムだ。

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 美しい色合いのホウレンソウの炒め煮込み。南インドではホウレンソウのほか、各種ほかにも青菜があり、それらを総称してキーラkeeraだとかキーライkeeraiと呼ぶ。また、それらを炒めたり、煮たりした料理もたいていはキーラやキーライといわれる。

 これはマスタード・シード、クミン・シードなどのほか、仕上げにココナッツ・ファインも入れた炒め煮込み。ターメリックは使っていないが、そうすることでかえってホウレンソウの色味が冴えた印象になっている。

 味わいは、日本のインド料理店で食べられるいわゆるサーグカレーやパラクカレーよりも、さらにホウレンソウの風味が強い感じ。南インドの風が吹いてくるような仕上がりだった。

《このブログを書いているときのBGM》
 マンバブー『恋愛警察』。元じゃがたらのギター、EBBYさんなど錚々たるメンバーが結成したファンクバンドの新譜。意外や(?)、サンタナやタワー・オブ・パワーなどを髣髴するナンバーが多い。イケます。

10月某日

 インドではないカレーを食べようと考えるとき、私がよく訪れる店のひとつが大久保にあるマレーシア料理の名店「マハティール」。

 ここはディナーで食べられる「ロティ・チャナイ」(南インド風の薄焼きパンとココナッツの利いたチキンカレーのセット)が美味だが、ランチで食べられるチキンや野菜のカレーもいい。

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 ロティ・チャナイのチキンカレー。ココナッツ・ミルクのコクが素晴らしく、極めて南インド的(器が渋すぎ。どこかの家で食事しているみたいだ)。

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 これがロティ。南インドのパロータがマレーシアやシンガポールに伝来して定着したもの。塩ピーナツもいい雰囲気。

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 この日食べたのが、ラムのスライスのカレーという珍品。骨付きやカレー用角切りのラムやマトンでなく、ジンギスカン用のロール肉なのがポイント。レモングラスとクローブがドッサリ入り、ココナッツ風味。すべて食べ放題のご飯やおかず付きで680円は安い。

《このブログを書いているときのBGM》
 ソニック・ユース『グー』。アートなロックて、この人たち以降めっきり減った気がする。各作品とも、音のみならずジャケットもカッコよくて好きだ。 

 今9~10月、来日して我が家にステイしたインド舞踊家、シャイラジャ女史の料理日誌より。

 クートゥというのは、南インドの挽き割り豆と野菜の煮込みだ。標準的なレシピは、私の書いた『カレーな薬膳』などにも出ている。

 本来、クートゥの味つけにはすりつぶしたココナッツと同じくすりつぶしたクミン・シードがよく用いられるが、女史はこれらを省いて、代わりに粒のままのクミン・シードをスターター、あるいはテンパリングに使用した(熱した油の中で粒のスパイスを泳がせて香味油を作り、それをカレーに入れる。インド料理ならではのテクニックだ)。

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 トロリとしたカボチャの甘味とチャナ・ダールならではの歯ざわりのコントラストが絶妙。ココナッツが入らないのにココナッツぽいのはカボチャの甘さの賜物か?

《このブログを書いているときのBGM》
 ローランド・カーク『リップ・リグ・アンド・パニック』(1965年)。このアルバムのタイトルをバンド名にした元「ポップ・グループ」の連中も偉かったな。ナイスなセンスだ。もちろんこのアルバムの疾走感も素晴らしい。

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