カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2007年05月

5月30日。
 朝、傘を持っている人が多い。東京は雨が降るとのことだ。それも黄砂混じりのが降るなどとテレビでいっている。黄色い雨ということ? フランク・ザッパ氏の曲で、恐怖の黄色い雪みたいなタイトルのがあったが、イヤだね、そういうのは。

 昼どき、傘も持たずに新宿界隈を歩いていたら、とうとう雨が降ってきた。黄色くはなさそうで、ホッとする。

 大久保までやってきて、どこかでメシにしようと思案。相変わらず韓国料理店はどこも盛況。韓流ブームはまだ衰えていないらしく、ミーハーぽい日本人中高年女性たちの姿がそこここで見える。そういう客のいそうなところは避けて、マレーシア料理の老舗「マハティール」に入る。いつも思うが、スゴいネーミングの店だ。日本だったら「小泉純一郎」とか「田中角栄」みたいなことか?

「ラムカレー」「空芯菜のサンバル炒め」「苦瓜と鶏の唐辛子炒め」など6種類の主菜からひとつを選んだ上、食べ放題のランチブッフェをくっつけて680円はなかなかリーズナブル。
私は「トンソク煮込み」をチョイス。ここ最近、プチ・ベジタリアンなのだが、こういうところにくるととたんにノンベジタリアンへと変貌する。軽いな。

イメージ 1

皮ごと入れたニンニクのほか、八角やクローブも加えた醤油煮込み。トンソクはトロトロで、臭みはまるで無し。ていねいな調理方法なのだろう。白いご飯をもらい、のせて食べた。

イメージ 2

これはおかずの盛り合わせ。マレー風のうどん、フライドライス、サラダ、高菜をまぶした豆腐、青菜やダイコン、揚げなどの煮込みなど。ちょっとしたチャンプルー状態。

イメージ 3

これは以前この店で食べたマレー風のチキンカレー。ココナッツ・ミルクが利いていて、南インドで食べるチキンカレーにたいへんよく似ている。ただしトマトがほとんど入っていないのが相違点か。

イメージ 4

マレーのローティ。こういうものが食べられる店は東京でも少ない。チキンカレーとの相性はバツグンだった。

こういう料理を食べると、本場に行って舌鼓を打ちたくなる。

そういえば、今年もシンガポールの音楽祭WOMADは夏にあるのか? そのころ、あのあたりに行くのも手だな。

《このブログを書いているときのBGM》
FUTONの『ギブ・ミー・ナウ』。ニューアルバムが7月ごろ出るらしい。期待できそうだ。

5月29日、火曜日。

東京はここのところ寒暖の差があり、こちらものどが痛かったりして風邪気味。周囲にも体調を崩している人も少なくない。このブログを呼んでいる皆さんも、体調管理にはご注意を。

昼、石焼ではないピビンパを食べる。韓国でも石焼ではないピビンパがオリジナルだったと思う。
目玉焼きのせのナムル類とご飯をグチャグチャとかきまぜることで新たなおいしさが生まれる。このグチャグチャかきまぜるところがポイントで、ちゃんと混ぜないとおいしくない。
このプロセスには南インドのミールスや北インドのターリの持つ魅力と似たところがある。

夜、なぜか「沖縄そばのカップめん」を食べる。カップめんを食べるのは一年以上ぶりだろう。ちょっとは期待したが、やはり期待を下回る一品だった。

【今回のインド取材で印象的だった目からウロコのご紹介⑬】

南インドのティファン(軽食)というと、米と豆粉で作ったパンケーキのようなドーサ、同じような生地で作る蒸しパンのイドゥリなどが有名だが、今回取材したケララのコーチンには、珍しいティファンがたくさんある。

イメージ 1

これはプットゥ。ココナッツの果肉と上新粉を筒状に蒸し上げたティファン。もちろんカレーといっしょに食べる。

イメージ 2

プットゥを蒸す道具。てっぺんの筒に削ったココナッツと特殊な練り方をした米の粉を交互に入れて蒸す。この器具は日本ではなかなか手に入らないし、手に入れようという方もほとんどいない。

イメージ 3

これはアッパム。米の粉とココナッツ・ミルクの生地を、本来はトディという地酒の力で発酵させてから、中華鍋を小さくしたようなフタ付きの鍋で焼き上げる。今ではタミル、カルナータカ、アーンドラも含めた南インド全域で食べられるが、オリジナルはケララ。やはり本場のはバカウマ。シチューと呼ばれるココナッツ・ミルクたっぷりのカレーなどで食べたい。

イメージ 4

精白小麦粉の生地をクロワッサンのように幾層にも折り込んで焼くパロータ。シンガポールやマレーシアのロティもこの親戚だ。パンジャーブのナーンに対するケララの回答みたいなものだ。これもまたココナッツ・ミルクがベースのカレーにつけると絶品。

イメージ 5

何とポーク・カレー。トマトとココナッツ・ミルクがベースで、豚肉は下ゆでしてからカレーに加えて煮込む。シリア・クリスチャンと呼ばれるケララならではのコミュニティによるカレー。


《このブログを書いているときのBGM》
新生サディスティック・ミカ(エラ)・バンドの『ライヴ・イン・トウキョウ』。当たり前だが、メチャクチャ余裕あるたたずまいの演奏が心憎い。

月曜日。
午前中、ハンズで買った本棚の到着待ち。
11時ごろ、きちんと設置場所までセットしてくれるというナイスなサービスが完了。全体の高さや棚板を自分で調整して、引越し以来、未だ段ボール箱に入っていた1972~76年ぐらいの「ミュージック・ライフ」、日本の単行本などを引っ張り出し入れてみた。
全部本を突っ込んで眺めてみると、ウーム、神保町の古書店みたいな感じだ。

我が家の書架でも、料理書をメインにして洋書の多いところは、見た目がスマートでカッコいい。あきらかに日本の本が多いところはヴィジュアル的に見劣りする。ブックデザインの分野ではまだまだ外国の方が力が上というのが、私の見解である。

午後、髪を切る。行きつけの店がやたら混んでいてびっくり。シフトの薄い月曜日の混雑で、スタッフの方々も大変そうだった。

夜、タマリンドを利かせた酸っぱいダールであるカッティ・ダール、ショウガのカレー、ポテトの香味炒めを作る。

イメージ 1

ダールはトゥール・ダールを使用。同じ酸っぱいダールでも地方によっては、タマリンドではなくライム、青マンゴー、コクムなど、いろいろなものを使うレシピがある。本日のは南インド、アーンドラあたりの作り方。タマネギは入っていない。

挽き割り豆のカレー、ダールひとつをとっても本場にはいろいろなバリエーションがある。
日本のインド・レストランではまだまだダールをオーダーする方は少ない。
一方私は、店の方向性や料理人の腕をチェックするのによくダールを頼む。けっこう、よくもわるくもサプライズがあって楽しいものだ。

私の食べた日本のダールでおいしかったところの例としては、麹町アジャンタ、品川と新宿のシターラなどが挙げられる。小岩サンサールのネパール式ダールも素晴らしい。

《このブログを書いているときのBGM》
南インドの古典音楽であるカルナティックのインド式フルートの天才、TRマハリンガム氏の三枚組ライブCD。飄々たるそよ風のような、しかも時にサイケでジャムバンドなオリジナリティあふれる演奏が延々続く。私の大好きなミュージシャンのひとりである。

日本ベジタリアン協会主催の「ベジ料理を楽しむ会」の講師を務める。
講演をするのではなく、調理実習である。

インドには確固たるベジタリアンの食文化が構築されているので、日本のベジタリアンの方々にもなじみやすいはずだが、日本や西洋のヴィーガンとインド・ベジタリアンでは
・ヴィーガン→牛乳、ヨーグルト、バターなどの乳製品はNG
・インドのベジタリアン→聖なる神様(牛はナンディという名前の神様)からの頂きものである乳製品はありがたく頂戴する。NGなのは肉、シーフード、そして卵。
という違いがある。

そういうわけで、本日はヨーグルト、ギーなども使わないヴィーガン仕様で料理教室を遂行。
メニューは
・ムング・ダール・カレー
イメージ 1

写真はイメージ。普通はギーを使うが、本日は未使用。

・野菜のココナッツ・マサラ(ボテト、ニンジン、オクラ、インゲン)
・チャナ・チャット(ヒヨコ豆と野菜のサラダ仕立て)
・レモン・ライス(南インドのレモン風味の混ぜご飯)
・ジンジャー・ティ(ショウガ風味のストレート・ティ)

といったラインアップ。
ビギナー向けの料理教室でよく私が取り上げるライタ(野菜とヨーグルトのサラダ仕立て)、チャイ(インド式ミルクティ)などは本日封印。

出来上がりは、全体に軽やかな感じ。
ギーを使わないダールは本場にもあるから、特に問題はなし。
マサラ、チャット、ライスには最初から乳製品は使わないので、これまたヴィーガン対応は容易。

普通インドのドリンクといえばチャイやラッシーだが、これらはヴィーガンの方々は口にしないもの。
そこでショウガやカルダモンを入れたお湯を沸かし、そこにお茶の葉を入れてすぐに火を止める手法でお茶を作った。

私個人としては、料理のレパートリーが広がるので、ベジタリアン料理には乳製品があった方が好きだが、それでもヴィーガン仕様にしても特段問題はなく、いろいろなものが作れるのでオーケーだ。

今後、ヴィーガンも含めたベジタリアンの食文化が、より日本に深く根付いてくれればうれしいものである。

《このブログを書いているときのBGM》
CCR『バイヨー・カントリー』。大昔、リトル・リチャードがオリジナルの1曲目をこの人たちのスタイルでカバーして、ライヴなどで演奏していた(コピーではない)。名曲「プラウド・メアリー」収録のスワンプな名盤だ。

昼食に韓国料理店でピビン冷麺。

普通の冷麺よりもハードにスパイシーな味付けになっているのがピビン冷麺の特徴。
韓国で冷麺といったら、通常のものよりこちらのピビン冷麺の方がポピュラーかもしれない。

この店もコチュジャンが利いて、おいしかった。
野菜中心のトッピングもヘルシーでグッド。

器に氷が入っているのは、日本人の感覚からするとユニークに写るだろう。

初めてだったのは、酢を別の小皿に入れたものが出され「お好みでかけてください」といわれたこと。
酢を入れた方がおいしいし、たしか本場のも酢が入っていると記憶している。

イメージ 1


《このブログを書いているときのBGM》
トッド・ラングレン『SOMETHING ANYTHING?』。キャロル・キング、フィリー・ソウル、そしてロックの融合というセンスが素晴らしい。

↑このページのトップヘ