カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

カテゴリ: インド食い倒れツアー2011

12月3日から4日にかけて

 充実した内容の「インドツアー2011」も終了。我々はデリーのインディラ・ガンジー国際空港から成田行きのエア・インディアに乗りました(関空行きに分乗という方もいました)。

 最後の機内食はやはりインド式ベジタリアンで。

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 ニンジンやパプリカのサブジ、パラパラと軽いバスマティ・ライス、日本でも人気のパラク・パニール(ホウレンソウとパニール(インドのカッテージチーズ)のカレー)、左上にはスイーツのラスマライ(チーズボールのミルクシロップ煮込みサフラン風味)、インド式野菜サラダ、ロールパンなど。

 今回訪れたデリーとハイデラバード、どちらもイスラームの影響が濃く、基本ノンベジ料理に大きな特徴があります。

 実際、今回のツアーでも、日本とは比較にならない種類と内容による肉やシーフードのカレーやタンドゥール料理を満喫しました。

 一方、各料理家の皆さんによるレッスンではベジタリアンメニューに秀逸なものが多くて、印象的でした。アーンドラのナスや青唐辛子のカレー、デリーのカリフラワーやパニール、コーンなどまで使うカレー、いずれもバツグンでした。

 そして何といっても「タワ・ビリヤニ」「マトン・ビリヤニ」「マッシュルーム・ビリヤニ」という3種類の異なる手法によるビリヤニのレッスン。これもまた、大きな収穫でした。
 ビリヤニ自体も、さらにさらに食べまくりましたしね。デリー、ハイデラバードともインドにおけるビリヤニの聖地です。

 早くも「インドツアー2012」のアイディアは、このツアーの間からも出ています。

 候補としてはグルメな楽園「ゴア」が最有力ですが、「ラジャスタンの激辛料理巡り」とか「マイソールやマドゥライなど南インドの古都を訪ねる」なんてのもいいかな、と思ったりしています。

 いずれにせよ、私の料理レパートリー同様、ネタはいくらでもありますので苦労しません。

 15名の参加者の皆さん、コーディネーターであるミシュラさん、デスクの花崎さん。どうも、ありがとうございました。また、お会いしましょう。

《このブログを書いているときのBGM》
JEFFERSON STARSHIP『DRAGON FRY』(1974)
 ジェファーソン・エアプレインから改名しメンバーも一新。この後、STASHIPというバンド名になり、気持ち悪くポップ化しますが、この頃はまだちょっとは辛口。もともと黒人街頭ブルースマンだったというパパ・ジョン・クリーチのバイオリンがカッコいいです。
http://www.youtube.com/watch?v=4BcV-LmlF3c
 エアプレインのボーカル、マーティン・ベイリンがゲストボーカル。この人も後にAOR化してしまいました。

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12月3日

「インドツアー2011」最終日。デリーにある超有名店にして老舗の1つ「カリムホテル」での遅めのランチのご紹介を続けましょう。

 この店は、ムガル帝国の宮廷料理人の末裔が開いたとのこと。日本にもある、いわゆる「ムガル宮廷料理」の神髄とは何なのかを考える上でも格好の名店です。

 この店ならではの「ムガル料理(ムグライ料理、モグライ料理などともいわれます)」式カレーベースでは、基本的に
・フライドオニオン→大量のタマネギをスライスし、天ぷら鍋のような大鍋で茶色でサクサクになるまで揚げたもの
・ヨーグルト
 の2つがメインの食材になります。
 要するに、コロンブス以降インドに入ってきたトマトは不要なのです(バターチキンやチキンカラヒのような非ムガル料理にはトマトを使います)。

 そんなこの店の名物メニューの1つが「コルマ」。フライドオニオンとヨーグルトのカレーにすりつぶしたポピー・シード(ケシの実)や同じくアーモンドのペーストが入ったものです。当然オーダーしました。

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 上に浮いた大量の油にひるまないようにしてカレーソースをすくい取りフワフワのナーンで味わえば、至福のおいしさです(この油にもいい風味がしっかりついています。ナーンでちょっと吸わせて食べても、良質のオリーブオイルのように美味)。マトンは当然骨付き。とにかくうまみの出たグレービーがバツグンでした。

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 マトンでもう一品。スネなどを長時間煮込んだ「ナハリ」です。上にのっているのは青唐辛子とショウガ。本来デリーのイスラームは、一晩中煮込んだナハリを朝食に食べるのだとか。パワーフードですね。深いスパイスの風味とフライドオニオンの香ばしさが相まって美味でした。

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 マトンのシーク・カバーブもこの店の名物の一つ。タマネギなど余計なものは入れず、マトンとスパイスをメインに、後はショウガとニンニクのすりおろしや香菜ぐらいだけで、うまみたっぷりに焼き上げます。焼くのもタンドゥールではなく、シクリと呼ばれる焼き鳥や鰻の炭火焼き台のようなもので。これが本当のイスラーム料理です。

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 カバーブの付け合せに欠かせないタマネギのスライス。ライムのようなレモンをギュッと絞ったのは私。これもマストです。

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 デザートのフィルニ。米をすりつぶしてミルク煮にしたライスプディングです(イギリスのライスプディングはこうしたインドのスイーツがルーツともいわれています)。トッピングはピスタチオ。意外にもそれほど甘くなく、上品な味わいでした。

 ツアー参加者の皆さん、かなりディープな店構えに最初びっくりしていたようですが、これまで口にしたものとは明らかに傾向の異なる料理の数々にかなり満足なさったようでした。ほとんど完食。

 私も、わざわざ皆さんをお連れした甲斐がありました。いつ訪れてもハズレることがない、数少ない店の1つです。もともとここで働いていた私の師匠にも感謝。

《このブログを書いているときのBGM》
LED ZEPPELIN『PHYSICAL GRAFFITI』(1975)
 寄せ集めテイク集だともいわれていますが、完全に一つの世界が完成しています。実はインドっぽくない中近東サウンドの「カシミール」(歌詞はかの地を謳ったもの?)他、いい曲多数ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=tjtWrWeYARE

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12月3日

「インドツアー2011」最終日。
 午前中、デリーのショッピングモールでスパイスや食材、食器、調理器具などを各自買いまくり(ツアー参加の皆さんの買いっぷり、お見事でした)、ホテルで荷造りして午後に入りチェックアウト。

 空港に行く前に食べ納めです。私がツアー参加者を絶対に連れて行きたかった「カリムホテルKARIM'S」に向かいました(実は前年の「コーチン~チェンナイツアー」の際も予定に入れていたのですが、直前のデリー行きフライトが大幅に遅れたため断念したのです)。

 ホテルというのはこの場合、レストランのこと。インドの場合、〇〇ホテルといったとき、食堂やレストランを指すことが少なくありません。旅行予定の方は覚えておくべき事柄です。

 カリムホテルはオールドデリーのチャンドニ・チョーク近くに本店がある他、ニューデリーのニザム・ウディーンなどにも店があります。今回は空港へのアクセスからも、また店のムードからもニザム・ウディーンにしました。

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 これが店の看板。実に渋いエリアにある、渋い店です。

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 今回はバターチキンを集中してチェックしている参加者の方もいたので、バターチキンははずせません。この店のは、日本のとは違っていて酸味が前に出たタイプ。おそらくカシューナッツのペーストは入っておらず、生クリームもかなり少なめ(ちなみに「サザンスパイス」でレッスンしているバターチキンもこのタイプ。私の師匠はカリムホテルの黄金時代のメンバーで、その方から習いましたので、似ているわけです。1月30日他レッスンがあります)。上にのっているのはメロン・シードです。

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 チキン・カラヒ。本来はこの店の得意なイスラームのムガル料理ではなく、バターチキンも含め、パンジャーブ料理です。ものすごくトマトが効いており、まさに「スパイシーなチキンのトマト煮込み」。

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 イスラーム式ならではのふんわりとしたナーン。形も丸いクルチャタイプです。表面の黒いプチプチは黒ゴマ。ちょっと甘味があり、カレーソースとの相性もバツグンでした。日本と違い、表面にバターやギーも塗ってないのにもご注目を。日本でこのナーンを出す店があったら、人気沸騰間違いなしでしょうね(作れる方、知っています)。

 まだまだカリムならではのスゴい料理が続きます。次回へ。

《このブログを書いているときのBGM》
ROXY MUSIC『AVALON』(1982)
 なぜか、私にはインドを思い出させるアルバム。「INDIA」なんて曲もありますね。異常に音質がいいアルバムでもあります。ボブ・クリアマウンテンの凄さでしょうね。
http://www.youtube.com/watch?v=bpA_5a0miWk

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12月3日

「インドツアー2011」もいよいよ最終日となりました。この日は、スパイス、調理器具、食器といった日常品でおみやげになりそうなものを市内の高級スーパーへ探しに行きました。

 で、まずは朝食。今回泊まっているホテル、CITY PARKは、なかなかインド料理の朝食のレベルが高くてよかったです。

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 南インドの朝食。
 圧し米を炒り蒸しした「アワル・ウプマ」(サザンスパイスでもときどきレッスンします)。
 ココナッツ、トマトという2種類のチャツネ。
 そしてカリフラワー、ニンジン、インゲンなど具だくさんで野菜シチューのようなサンバル。

 これだけ具がたくさんのサンバルは南インドでもなかなかお目にかかれません。かなりシャバシャバですが、これは現地のサンバルによくあるパターン。珍しくはありません。日本のインドレストランもマネすればいいのに、と思うようなおいしくて気の利いたサンバルでした。

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 これはインドのオムレツ。今回、「朝食はベジタリアン」と自分で決めていたので、こういうものは食べなかったのですが、最終日なのでいただいてみました。
 インドの卵は黄身がすごく白いのです。だからオムレツも白。けれども味わいは濃厚で美味。
 薄く焼いて、しっかり火を通すのがインド流。フワフワのオムレツは、主に高級ホテルで外国人向けに供されます。

 最終日もおいしい朝食、ごちそうさまでした。

《このブログを書いているときのBGM》
FLEETWOOD MAC『BARE TREES』(1972)
 ピーター・グリーンとジェレミー・スペンサーが脱退、ダニー・カーワンとボブ・ヴェルチがフロントという一般的には評価の低い地味な1枚。でも、今聴くと、これがけっこういいのです。
http://www.youtube.com/watch?v=HvCUJgnVg3o
 ボブ・ウェルチのソロで有名ですが、こちらがオリジナル。

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12月2日

「インドツアー2011」も佳境に入りつつある最終日前のディナー、デリーの超高級ホテルでちょっと珍しいカシミール料理を楽しみました。

 スープ、タンドゥールと続いた後はいよいよメインのカレーです。

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 ウラド・ダールとキドニービーンズのカレー。ギーや生クリームが入っています。いわゆるダール・マッカーニーのカシミール版です。

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 パニール(インドのカッテージチーズ)のカレー。

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 巨大なチキンミートボールのサフラン煮込みカレー。

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 白いラムのカレー。これが一番気に入りました。

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 カシミール・プラオ。ナッツとレーズンも入って、甘いという変わり種。

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 締めのスイーツもナッツのシロップ漬け。サフランもたっぷり。

 寒い地方(場所によっては北海道並みらしいです。行ったことないのですが)らしい濃厚な味わいの料理が多いですね。スパイスの使い方や食材の組み合わせも独特。勉強になりました。
 
《このブログを書いているときのBGM》
じゃがたら『南蛮渡来』(1982)
 江戸アケミさん、そしてボ・ガンボスのどんとさんの命日です。R.I.P
http://www.youtube.com/watch?v=PS46C2c5iPQ

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