約ひと月前、全国の成城石井各店で発売開始された「ビーフ・ナハリ」のレトルトカレー、750円という価格をものともせず、順調に売れているそうだ。
ナハリ(日本では、パキスタン流のニハリという呼び名の方がカレーマニアの間では通りがよい。しかし、私の知るインドの首都デリーの料理関係者は、皆、「ナハリ」と呼ぶ)は、骨つきの牛肉を骨や髄とともにじっくり一晩スパイスや香味野菜と煮込んで仕上げた滋養たっぷりのカレーだ。ビーフはインド人の過半数を占めるヒンドゥー教徒はビーフを食べない。ナハリはイスラームのカレーである。
ナハリの魅力はやはり奥深い風味。その風味は主役であるビーフ、そして各種のスパイス(ナハリ・マサ―ラーと呼ばれるミックススパイスが用いられる)、揚げタマネギ、ヨーグルト、ニンニクやショウガ、香菜、ミント、などの絶妙なバランスから成り立っている。
ナハリ発祥地の1つといわれるオールドデリーには、ナハリの老舗的名店がいくつかあるが、ナハリに入れるナハリ・マサーラーの配合をオーナーしか知らないという店もある。それくらいスパイスの配合に気を使っている。
日本でも都内、埼玉、富山、大阪など、各地域にイスラーム教の人々の集まる街があり、そんな街にはたいてい、日本人よりむしろインドやパキスタンなど南アジアの人たちをターゲットにしたと思われる、日本人向けアレンジなしのインド・パキスタン料理の店がある。そんな店で最も人気があるのがナハリやニハリなのだ。
近年、目ざといインドカレーファンの間で急激にメジャーになったメニューの1つにゴアの名物、ポーク・ビンダルーがある。これはスパイスと酢でマリネした豚肉の煮込みで、1960年代前半までポルトガルの植民地だったゴア地方ならではの個性的な美味といえる。
実は「ナハリ」、ポーク・ビンダルーの後にカレーマニアの間で人気沸騰する可能性を秘めている。明らかにSNSなどでの注目度は上がっている。
で、ナハリが食べたくなったら、メニューにナハリやニハリのあるインド&パキスタン料理に行けばいい。そう思うでしょ。そこに落とし穴があるのだ。
日本では「マトン・ニハリ」を出す店が多いのだが、市販のレディメイド「ニハリ・ミックス」と呼ばれるパウダーミックススパイスを使用しているのがほとんど。だから、どの店も味や香りが似ている。
今回の商品は、私が配合設計を手掛けている。もちろんオリジナル配合で、市販のものとは比べものにならないアロマとテイストを生み出してくれた。
こうしてできた「ビーフ・ナハリ」、おかげ様で
・レトルトとは思えない味わい
・最初、値段を見てひるんだが、食べて納得
・レストランよりおいしく、レストランより安い
・ブラインドテストしたら、絶対レトルトとは思わないだろう
といった感想をいただいている。
5月5日頃、私プロデュースのインドカレー第2弾「ラール・マース」が、同じく成城石井各店で発売される。北インド、ラージャスターン州の唐辛子風味の赤いマトンカレーだ。日本ではインドレストランにもないはずで、ほとんどの日本人が初めて口にする味わいといえる。
どちらも店頭で見かけたら、ぜひ手に取っていただきたい。
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どちらも店頭で見かけたら、ぜひ手に取っていただきたい。
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STEPSON『STEPSON』(1974年)
アルバム1枚でいなくなったアメリカの4人組。ちょっと前はCDが1000円ちょっとだったのが、今は数万円とか。
https://www.youtube.com/watch?v=wrsLX-2GGFs
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