カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2021年03月

いよいよ今週、私が責任監修した超本格レトルトインドカレーシリーズの第一弾「ビーフナハリ」が、全国の「成城石井」各店で販売される(販売元は「36チャンバース・オブ・スパイス」)。

nahari pop













ナハリはインドのイスラームコミュニティ、あるいはパキスタンやバングラデシュで常食されるカレーで、現地ではその深い味わいとともに「究極のパワーフード」としてよく知られ、特に滋養あふれる朝食として人気がある。 日本では、一部の熱心なインド・パキスタン料理ファンには人気があるものの、カレー好きなグルメ全体の認知度はまだまだ。しかしながら「ポーク・ビンダルーの後任として、インドカレー好きの間で人気の出そうな兆しあり」と感じた私と関係各位は密かに商品化にトライしていたのだが、このたびめでたく実現した。

現代のインド料理では、マトンやチキンのナハリもポピュラーだが、本来、ナハリはビーフ。牛肉、牛骨、そして太い骨の中にある髄などを、ナハリ・マサーラーと呼ばれる特製パウダー・スパイス・ミックス(店や家庭ごとに配合が違う「秘伝」のマサ―ラーの典型)、ヨーグルト、トマト、揚げタマネギ、ニンニク、ショウガ、香菜、青唐辛子、ミントなどとともにじっくり煮込んでつくる。 使う部位の種類、切り方、肉と骨の配合比、肉の脂身の削り方、あれこれ気を遣いつつ夜通し煮込み、朝ごはんに、タンドゥール窯で焼いたナーンやカーミーリー・ローティと呼ばれるフンワリとしたパンといっしょに食すのが、現地流。

日本のレストランでナハリを食べられるところはある。しかし本場のナハリは、さらに個性的だ。
まずはルックス。表面全体を、けっこうな厚さの油脂の膜が覆っている。膜はたいてい赤黒い色をしていて、スパイスの、牛肉の、そして揚げタマネギのエキスがたっぷり溶け込んでいるであろうことが、誰の目にも容易に映る。重厚だが、キリリと透明感が高い油膜でもあり、単なる「カレーの上に浮かんだ余計な油」とは異なる存在感を意識する。
肝心の味わいだが、そのおいしさを的確に伝えるのは、なかなかむずかしい。 牛肉や牛骨、髄を秘伝のスパイスやハーブとともに一晩煮るのだから、当然、とてつもなく風味は深く、奥行がある。ダシの濃さもバツグンで、グレービー(カレーソース)はうま味のかたまりになっている。とても辛いカレーなのだが、良質なビーフシチューのようなやさしさも持ち合わせているので、私は現地で食べるたびにホッとする。
ナハリはインド亜大陸屈指の「脂を食べるカレー」でもある。特に最初のひと口、焼き立てのナーンをアツアツのナハリに浸し、表面に浮かんだ赤い脂をグレービーとともにたっぷり吸わせ、口に運ぶのは、至福の瞬間だ。
誤解を承知で申し上げれば、メチャクチャウマい牛もつ煮込み、これが日本の食べ物で案外近い気がする。

ナハリは18世紀頃、ハイデラバード、オールド・デリー、ラクナウなどのムガル宮廷料理として成立、発達したらしい。 日本では、パキスタン料理レストランでしばしば供され、料理名もパキスタンで用いられる「ニハリ(ニハーリー)」で呼ばれることが多い。そんな店のオーナーやシェフなら「ニハリはパキスタン料理」と自信たっぷりに断言するだろうが、パキスタンやバングラデシュでナハリが盛んに食べられるようになったのは、第二次世界大戦後の印パ分離独立時、インドからパキスタンやバングラデシュに脱出したイスラームの人々の力によるところ大という(タンドゥーリ・チキンや、日本のホルモン焼肉誕生のいきさつとよく似たストーリーといえる)。

私のレシピによる今回のレトルト・ナハリは、本場より脂を抑えてある。もちろんこれは日本人の舌を考えてのことだが、同時に、日本米のご飯にかけて楽しむことを前提にした結果でもある。 また、本場のナハリでは少量の小麦粉をグレービーに溶き入れトロミをつけるが、これもあえて採用しなかった。グレービーの味わいと日本米ご飯の相性を考慮しての判断だ。
こうしてできた「ビーフナハリ」、今週、全国の「成城石井」各店レトルトカレー売り場に登場する予定。私のオリジナル配合による特製ガラム・マサラの小袋つき(これだけでも、かなりの価値ありという方もすでにいる)、230グラム入り(トロトロのビーフ90グラムを煮込んで同封)、税別700円。
これ1パックで1合のごはんが食べられた。
ぜひ、手に取っていただきたい。

《このブログを書いているときのBGM》 
BAD COMPANY『STRAIGHT SHOOTER』(1975年)
セカンドアルバム。緩急自在な音作りの名盤。

https://www.youtube.com/watch?v=TeZqjZ_kvLY


★「サザンミスパイス」新公式サイトは
コチラ

★個人サイト『誰も知らないインドカレー』から「サザンスパイス」レッスンスケジュールや参加申込み可能!





★アジアン料理ユニット『ヤミーズディッシュ』のブログ
https://yummysdish.exblog.jp

1970年代、日本のロック創成期を語る上で、「あんぜんバンド」「ウラワ・ロックンロール・センター」の名前は今も燦然と輝いている。

当時、「日本語ロック論争」や「クリエイション派対はっぴいえんど派の対立」のように、現代の音楽シーンからは想像のつかない(というより、私より年下の1960年以降生まれたロックファンにはおそらく「訳の分からない」)「熱気」にあふれていた。

リアルタイムで「あんぜんバンド」を聴いた中学から高校にかけての私には、不思議なバンドという印象があった。まずバンド名が変わっている。これは「子供ばんど」に継承されたのではないか。サウンド的には当時ドゥービーブラザースなどアメリカンロックに影響を受けているといわれたが、どこかビートルズぽいブリティッシュぽさもあり、クリエイション、四人囃子、カルメンマキ&オズなど、当時のほかの有名バンドとは異なるサウンドカラーを持っている気がした。もうひとつ印象に残っているのが、いわゆるラブソングをほとんどつくらないことで、歌詞がカッコいい日本のロックバンドの先駆けだろう。

そんな「あんぜんバンド(安全バンド)」のリーダー兼ベースで、作詞作曲も手掛ける長沢ヒロさんが、初のソロアルバムを完成させたということで、さっそく聴かせていただいた。

                  nagasawa hiro solo 2021

















光栄にも、長沢ヒロさんご一家と懇意にさせていただいているのだが、こうなった経緯として、直接的にはヒロさんの奥様がたまたま私の料理教室の生徒だったことから、話はスタートする。
よくよく考えてみると、ヒロさんが80年代に入ってやっていた「ペグモ」というバンドとは、渋谷ライヴインで対バン、同じステージに立ったことがあった。またヒロさんらは東洋大学軽音楽部の仲間でバンドを始めたが、私のやっていたバンドも、5人のメンバー中3人が東洋大の学生あるいは中退者。
他にも、共通する知己の音楽家が少なくなかったりで、まあ何かとご縁、繋がりがある。

今回のソロアルバムのプロデュースを担当したのはホッピー神山氏だが、彼と私は、同じ年に早稲田に入り、ともに「ロッククライミング」という音楽サークルに所属した。

今回のアルバム、1曲目から、ホッピーがかつて在籍していた「ピンク」ぽい80年代的音づくりが随所に顔を出し、思わずニヤリとさせられる。
ヒロさんは当然のごとく絶好調。よく通り、歌詞のひとことひとことがきちんとわかる歌声がいい。いつまでも若々しくナイーブも入り混じった、味わい深いボーカルでもある。メジャーのキーでマイナ―コードの使い方が絶妙だったりする曲づくり、そしてときに聴き手をはっとさせる詞の魅力。さすが、年輪が増した分、音全体にうま味やコクが増している。
サウンド的にもロックならではのカッコよさ、とりわけリフの美学を熟知し、グルーヴあふれる演奏が何とも頼もしい。

ジャケットのアートワークもイイ。アルバムの世界観とピッタリ合致している。

まだまだこれから、どんどんいい作品が生まれるに違いない。楽しみだ。

《このブログを書いているときのBGM》 
あんぜんバンド『ALBUM A』(1975年)
記念すべきデビュー作

★「サザンミスパイス」新公式サイトは
コチラ

★個人サイト『誰も知らないインドカレー』から「サザンスパイス」レッスンスケジュールや参加申込み可能!





★アジアン料理ユニット『ヤミーズディッシュ』のブログ
https://yummysdish.exblog.jp



 東京、西荻窪にあるクッキングスタジオ「サザンスパイス」の3月料理教室のスケジュールはこんな感じ

 8日から都合2週間(21日まで)は都の緊急事態宣言延長に伴い、一律午後1時開始の特別編成にしているが、22日以降も当面、従来の午前11時スタートには戻さず、昼間のレッスンは午後1時スタートを基本にすることとした(プライベートレッスンはこれに該当せず、早い時間からビシビシやる)。

 今月は料理教室とは別に、いくつか大きな動きがある。順不同でご紹介しよう。

★23日(火) 代官山のエスニックなライブハウス『晴れたら空に豆まいて』で、伝統的なインド古典音楽から派手なロケンロールまで、ワールドワイドかつボーダーレスに演奏する、日本を代表するシタール奏者ヨシダダイキチさんと、特製インド料理つきトークライブ「スパイスセッション」を行う。2月10日公演予定の延期代演。

★同じく23~24日頃
私が責任を持って監修したレトルトインドカレーのシリーズ企画「キングカレー」の第一弾「ビーフナハリ」が「成城石井」全国全店をメインに販売開始の予定。
「ナハリ」は「ニハリ」ともいわれるイスラームのカレー。骨つき牛肉、牛骨、そして牛骨内のトロトロした「髄」を各種スパイス、フライド・オニオン、ヨーグルトなどと長時間煮込んで仕上げる、滋養あふれるパワーフードで、現地の名店では、夜中から明け方までじっくり煮込み、イーストで膨らませた円いナーンという雰囲気の「カミ―リー・ローティ」というパンとともに朝食に食べさせてくれる。
今回、私は「ナハリ」ならではのインパクトをキープしつつ、日本の米飯にも合う風味や食感も実現。これまで、世界中どこにもなかった「ナハリ」を創り出した。
成城石井各店では、以下のようなPOPも用意。すべてのカレーファン、インド亜大陸料理愛好家にアピールする予定。
nahari pop

★3月末~4月にかけて
まだ、正式日程が決まっていないが、日本初の本格「ビリヤニ」レシピ本が刊行される。全体の監修と一部レシピも担当しているのが、日本カレー界を牽引する最重要人物、水野仁輔さん。私は水野さんからの依頼を受け、きわめて現地的なレシピのビリヤニを計7種類、紹介している。
水野さんとは、雑誌ダンチュウdancyu誌の2007年カレー特集号でデリーやコーチンなどをいっしょに取材したり、水野さんが発起人の『LOVE INDIA 』に、私も発足当初から参加するなど旧知の仲なのだが、ともに本を創ったのは今回が初めて。予想以上にレベルが高い一冊になったと私は自負しているが、水野さんプロデュースは絶対的な理由だろう。
本書には、インド料理に関する独自のノウハウや南アジアのスパイス文化に対する限り無い熱情をベースに、カレーのみならず日本の外食業界全体に刺激を与える企業活動で注目を集める「エリックサウス」グループの総帥、稲田俊輔さん、インド亜大陸の食器や調理器具の輸入販売を生業にしつつ、南アジアの食に関するグレートな著作も手掛ける「アジアハンター」代表の小林真樹さんらも執筆陣として名を連ねている。これだけの陣容によるビリヤニのレシピ本、期待しないでいる方が無理というものだろう。

さて、こんな、こんなことのある中での料理教室である。
今月のおすすめとしては
・マサ―ラークートゥ、ココナッツサンバルなどの珍しい南インドベジタリアン料理
・手伸ばしのマラバール・パローター(ケーララ・パローター)
・マトンとマトンキーマを一度に煮込むマトンララ
・菜の花、新ジャガ、モロッコインゲンなど旬野菜のベジタリアンメニュー
・南インド、アーンドラ州ネロールの珍しいビリヤニ
など目白押しだ。

すっかり出不精になってしまった皆さんだろうが、ぜひ西荻窪においでいただきたい。

《このブログを書いているときのBGM》 
LED  ZEPPELINのデビューアルバム(1969)
「デビュー作にすべてがある」とは、まさに。
https://www.youtube.com/watch?v=TA9Rec1qAFQ


★「サザンミスパイス」新公式サイトは
コチラ

★個人サイト『誰も知らないインドカレー』から「サザンスパイス」レッスンスケジュールや参加申込み可能!





★アジアン料理ユニット『ヤミーズディッシュ』のブログ
https://yummysdish.exblog.jp

3月5・6日

東京・神楽坂にある商業施設「アコメヤ」で『LOVE INDIA 』メンバーの店舗が「スパイスおつまみBOX」を日替わりで限定販売する。

以前は「インド料理は酒に合わない」というのが、とりわけ日本で食を取り巻く人々の共通認識だった。そんな一方、私の知るインド人シェフの多くは多少なりとも酒が飲めたし、おいしい肴になるインド料理のオリジナルレシピも持っていた。インドに行くと、一見、酒は害悪という感じで人々は暮らしているものの、酒屋は繁盛、酒の飲める飲食店も繁盛していた。

今はどうかといえば、好みのビールやワインをうまくインド料理に合わせて楽しんでいる日本人は確実に増えただろう。東京のインドレストランのメニューにワインリストがあるのも、ごく普通になったと思う。

2018年2月、「ボルドーワインをちょっと意外な料理とおいしく合わせて楽しむ宴」という趣のイベントが都内であり、ボルドーワインに合うメニュー3品を百数十人分スタジオでつくり、ケータリングした。どっしりとした赤ワインの代名詞ともいえるボルドーだが(実際には赤だけでなく白やロゼもあって皆ウマいらしい)、インド料理に、あう、あう(「孤独のグルメ」の口調でどうぞ)。世界に冠たる美食の国でも、ワインとインド料理のマリアージュを勧めてくれるわけだ。

とはいえ、いまだ頑固な人もいるわけで、インド料理はビールですら合わないという持論の方も知っている。

話がそれたが、今回の企画、サザンスパイスも6日に登場することが決定した。

【サザンスパイスのスパイスおつまみBOX】
(限定30セット、価格3.240円税込み、事前予約制だそう)
1.「チキン・ペッパー・フライ」
仕上げに粗挽きのブラック・ペッパーを利かせた、南インド・チェティナードゥ式鶏肉の濃厚カレーソース煮込み。
2.「豚もつ煮込み風ポーク・ビンダルー」
各種スパイスやワインビネガーでマリネした豚肉をじっくり煮込んだゴア州名物のポーク・カレーに、新鮮で軟らかい豚のホルモンをプラス。もつ煮込み感覚でお楽しみください。
3.「チャナ・マサーラー」
北インド、パンジャーブ州のヒヨコ豆カレー。ガラム・マサ―ラー、チャート・マサ―ラー、そして昨今の「スパイスカレー」店がこぞって間違った使い方をして、その魅力を台無しにしているカスリ・メティを的確に用い、絶妙なベジタリアンカレーに仕上げます。
4.「ベジタブル・タワ・フライ」
ネットでは「彩り野菜のサブジ」でしたが、同じもの。タワは鉄板状の調理器具、フライは揚げ物ではなく炒め。ジャガイモ、ニンジン、カリフラワー、インゲンなどのスパイス炒めです。

いずれのアイテムとも、家に持って帰ったら、電子レンジで温め直して召し上がっていただきたい。

チケット引換えの予約制らしく、予約方法などはここに書いてある。

アコメヤのサイトを見ると、予約締め切りは3日!
これはさすがにキビシイのではないか。最低5日まで延長していいと思う。

sarpanch da dhaba 131031 chana masala 2
インドツアーでパンジャーブ州の「ダバ」(路傍の庶民派食堂)を訪れた際供された、バツグンにウマかったチャナ・マサーラー。

《このブログを書いているときのBGM》 
JESSE ED DAVIS『ULULU』(1972)
あらゆる音楽の中で最も好きなものの1つが、このアルバム。
全曲素晴らしい。ハモンド用のレスリースピーカーにギターを通す独自のサウンドもこの人ならでは。
https://www.youtube.com/watch?v=gjODwM-lj2M

1曲目。スライドソロが秀逸。Duane Allmanがスライドを弾き始めたのも、ジェシのタジ・マハルのアルバムでのプレイを聴いたから、というのは有名な話。

★「サザンミスパイス」新公式サイトは
コチラ

★個人サイト『誰も知らないインドカレー』から「サザンスパイス」レッスンスケジュールや参加申込み可能!





★アジアン料理ユニット『ヤミーズディッシュ』のブログ
https://yummysdish.exblog.jp

↑このページのトップヘ