カレー&スパイス伝道師ブログ 2

インド&スパイス料理家、渡辺玲のブログ。2019年9月4日、ヤフーブログから移行。

2012年12月

2013年3月2~8日

 南インド、ケララ州のスパイス農園を巡るツアー。
 
 今回、標高1600メートルの美しい高原の町ムンヌールからわれわれが次に向かうのは、ケララとタミルナドゥ両州の境目にあり、南インドのスパイス集積センターとして専門家には有名なセカディ(テッカディ)とクミリ(クミリー)一帯。

 このあたりはペリヤール国立公園という自然保護区にあたり、野生のゾウやトラもいるという自然の宝庫。動物好きや山歩きファンにもたまらない場所となっている。

 それだけ自然が豊富なので植物栽培にも最適、スパイス栽培の農園や出荷設備が充実している。

 ケララとタミルナドゥの境目にあるということは地理的にも便利で、タミルナドゥの大都市マドゥライ(タミルの食い倒れ街ともいわれるグルメシティでもある)、ケララの州都トリバンドラム、われわれの拠点コーチンから、いずれもそれぞれ100~200キロ圏内で、物流的にもメリットが大きい。

★クミリーKUMILYの街の風景は例えばここで見られる。
http://www.ugo.cn/photo/nn/ja/3172.htm

★クミリーのスパイス農園や野菜くだもの農園のレポート(英文だが、スパイスの写真などおもしろい)
http://www.ghumakkar.com/2008/06/12/a-visit-to-the-kingdom-of-spices-in-kumily/
http://vasilshu.travellerspoint.com/190/

 スパイス栽培の黄金地帯ならではの魅力にあふれている。
 カレーやインド料理、スパイス関係者ならば一度は訪れないと始まらない場所の1つだろう。

イメージ 1
 もちろん料理も満喫する。これはケララ式ミールス ノンベジ(パローターを食べていると、ケララ名物の赤米ご飯を盛ってくれた。「インドツアー2010」より)。

 スパイスをしっかりチェックするツアーはさらに続く。

★画像をクリックすると大きくなって読みやすい。
イメージ 2

食のプロにおすすめのスパイス農園視察ツアー。
 申し込み締め切りは新年10日。
 お早めにどうぞ。

★申込みと問い合わせ先
インダスインターナショナル株式会社
担当:ミシュラ、花崎
E-mail: industokyo@indus-international.com
URL: http://www.indus-international.com

★問い合わせ先 
「サザンスパイス」渡辺
私の個人サイト http://www5e.biglobe.ne.jp/~masala/
クッキングスタジオ「サザンスパイス」の公式サイト http://southern-spice.com/ 
からメールで連絡を。

《このブログを書いているときのBGM》
GREAT3『GREAT3』(2012)
 9年ぶりのニューアルバムが素晴らしい。メンバーの片寄明人さんはベジタリアンで大のインドカレー好き。
http://www.youtube.com/watch?v=mFEEB3OgyMM
 含蓄のあるタイトルと歌詞、根っこにモッズ的哀愁が感じられる英国的サウンド、すべてが見事に融合した名曲。

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!



12月某日

 今やハイレベルな店が多いことでは都内屈指のカレー激戦区、西荻窪。

 私はここに住んで20年近くになるが、もともとカレーの店はそれほど多くはなかったし、ましてインド料理を出す店など皆無だった。

 2001年頃、西荻窪にある自然食系カフェレストランのシェフを任され、食べ放題のミールスほか純然たるインド料理を、鶏の唐揚げやみそ汁、沖縄のスーチカー、チヂミ、ミネストローネなどといっしょに出すという過激なことをしていた。

 その頃、隣の吉祥寺にはインド料理店や欧風カレーの有名店がたくさんあったが、西荻窪はそれとは程遠い状況だった。

 それが、ちょうど私が店のシェフを辞めた頃(『カレーな薬膳』(晶文社刊)を出す少し前だったと思う)から、西荻窪でカレーレストランが急に増えはじめた。そんな記憶がある。

 中央線沿線にしても、もともとカレー好きの集まる店が多く見られたが、それのほとんどはインド料理ではなかった。
 吉祥寺や八王子などを除けば、中央線沿線でインド料理は弱く、名店といえば欧風カレーかエスニックな「カリー」の店だった。

 そんな、中央線ならではともいえる、欧風カレーの名店の1つが「Y's cafe」だ。

 石垣島をメインにした沖縄が店のテーマになっているらしく、店内のディスプレイやメニューにも沖縄色が反映されていた。

 沖縄から絡みで「ゴーヤカレー」をオーダー。

イメージ 1
 しばらくして、まず出てきたのはジャガイモ。神保町「ボンディをはじめとして、欧風カレーの店では定番のスターターだ。どのタイミングで食べるのがいいか、迷いもするが、バターも添えられているので、カレーがくる前に、バターを溶かしつつ食べ切ってオーケーということだろう。

イメージ 2
 ライス。パセリがアクセント。盛り方もコンモリとして、インドレストランではやらないスタイル。

イメージ 3
 メインのカレー。
 ゴーヤは炒めてからサッとカレーソースで軽く煮合わせる程度。香りと食感が生きていた。
 ベースのカレーは、ときに欧風カレーに見受けられるバターや小麦粉たっぷりなタイプではなく、軽やかで食べやすいスタイル。ゴーヤとの相性からポークカレー。

 定番のビーフやポーク、チキンカレーなどのほか、「西荻スペシャル」とか「八重山そば」、激辛らしい「ドライカレー」といった個性的なメニューもおいしそうだった。
 
 カレーと沖縄の海が好きな方は一度行くといいだろう。

《このブログを書いているときのBGM》
PATTI SMITH GROUP『WAVE』(1979)
 トッド・ラングレンがプロデュースした5枚目のアルバム。後に死別してしまう最愛の夫で元MC5のギタリスト、フレッド・ソニック・スミスへのラブソングで幕を開けるのが切ない。バーズの「If you wanna be a rock'n roll star」のカバーもイイ。
http://www.youtube.com/watch?v=izZuDxb84W0

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!



12月某日

 いつもプライベートでは「ゆるベジ」(ゆるいベジタリアン)な食生活な私。

「玄米を主食にすると、肉類は欲しくなくなる」という研究結果が先日新聞に出ていたが、実際、玄米を常食するようになって、肉類は要らないなという気持ちがずいぶん大きくなった。

 とはいえ、ときに焼き鳥や煮込み、あるいは自宅近くの惣菜屋さん(「とらや」「ニシジマ」という二大名店あり)のメンチカツ、同じく自宅からすぐのハムソーセージデリ「もぐもぐ」のチョリソー(ゴアソージより上品なスパイス感)など恋しくなるし、日々の仕事ではバリバリ、ノンベジのインド料理を作り、食べている。

 さて、多彩なノンベジカレーが印象的なゴアをハイライトにした「インドツアー2012」から1か月余り。
 ゴア料理が恋しくなったところ、安価で新鮮な豚ホルモンを見つけた。そこで思わず、日ごろのベジタリアンぶりはちょっと休憩、酢とスパイスを使って煮込んでみた。

イメージ 1
 器は、豚肉文化の盛んな沖縄に敬意を表してみた。
 
 ゴアで「アンボティック・マサラ AMBOTIK MASALA」「ボトル・マサラ」などと呼ばれる(大きな瓶に入れて保存しながら、たっぷり長期間使えるのでこの名前があるらしい)、赤くて辛くて酸っぱいスパイスミックスを再現してから、一度ゆでてよく水洗いした銘柄豚(今回はサイボクのゴールデンポーク)のホルモンを用意。
 炒めたタマネギ、ショウガ、ニンニクなどとともに、その赤いマサラで煮込んだ。

 トマトは使わず、あくまで香味野菜とスパイス、そして酢(現地で聞いたところ「アップルサイダービネガー」が最もゴアの酢に似ているそうだ)で調理。

 ゴアに行くと「ソルポテル」という豚内臓のカレーがあるのだが(今回のツアーでも、おいしいのをいただいた)、それは、今回のように豚の腸だけではなく、レバー、胃、心臓、舌、ときにちょっとくさい腎臓、さらには豚の血を加えたりする。

 それよりこれはずっとシンプルで、ビンダルー(拙著『カレーな薬膳』(晶文社刊)にレシピあり)に近いマサラを使用した。

 できあがりはバッチリ。ホルモンならではの食感と風味がスパイスや酢といいハーモニーで、玄米で食べたら抜群だった。

 ビンダルーのように漬け込む必要はなく、意外とすぐにできる。今回もホルモンがあらかじめ軟らかなに煮上げられていたので、煮込み時間は30分弱。

 ホルモンとスパイスと酢。おいしい組み合わせだ。
 興味のある方はビンダルーのレシピで漬け込まず、いきなり調理すれば、十分イケる。
 おすすめだ。

《このブログを書いているときのBGM》
PATTI SMITH『TWELVE』(2007)
 本日が誕生日のパティ姐さん。1946年生れだが、若々しくてカッコいい。これは全曲カバーのアルバムで、意外な選曲が意外なアレンジ(エスニックなムードのものが多い)で聴けるうれしい名作。
http://www.youtube.com/watch?v=m2tv1ShcVmQ
 ニルヴァーナの超代表曲。ハマリすぎだ。
  
★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!



12月某日

 吉祥寺には純然たるインド料理ではないカレーの名店が多いが、ここもその一つ。

 カウンターだけの店内はカレーにガッツリ向き合うのに最適の環境といえる。だが、店内のムードはもっとユルくて、オムライスやおいしいサンドウィッチが出てきてもおかしくなさそうなイイムード。

 テンイヤーズアフターとプロコルハルムのジョイント武道館コンサートのチケットなど、額に入れて壁に飾ってある。ほかにも私には懐かしいシングルのジャケットや映画のフライヤーなどが。
 帰り際、店を切り盛りするママさんにそのあたりのこと、ちょっと伺ったが、やはり只者ではない。筋金入りの音楽ファンだった。

 私の座った眼前にはマリアンヌ・フェイスフルとアラン・ドロンの『あの胸にもういちど』のミニポスター(ルパン3世の峰不二子のイメージはこの映画から出たもの)、マリアンヌ・フェイスフルの美しさにしばし見惚れた。

イメージ 3

 こういう方が作るカレーがおいしくないわけがない。
 
 いろいろある本格カレーのメニューから今回は「ブナ」というマニアなネーミングに惹かれてオーダーした。

 通常「ブナ」というのは北インド式の炒め煮込みカレーを指す。肉やトマトの汁気を詰めるようにして、強火で炒め煮して仕上げたマサラ系のカレーだ。

 それがこの店ではポークのベースにチキンのレバーや砂肝を加えた汁気少なめのマサラになるらしい。レバー・マサラでもブナのテクニックを用いるから、これはこれでオーケー。それにしても、イスラーム系のインドやパキスタン料理店以外でレバーのマサラとはかなり珍しい。

イメージ 1
 変なアングルで申し訳ない。オニオンスライスほか野菜もたっぷりなのもイイ。ゆで卵に香菜、楊枝に刺したらっきょう。ワールドミュージック的ナイスなカオス。

イメージ 2
 レバーや砂肝とマサラの絡みはバツグン。細長いのはショウガの千切り。ポークが使われていることはわからない。全体として、オーソドクスなインドのマサラ料理をうまく踏襲している印象で、日本のご飯ともよく合った。

 インドのブナはチャパティやパラーターといったパンによく合うが、こちらは「ご飯に合うインドカリー」という感じ。スパイシーで、しかもホッとするおいしさだった。

 インド系に捉われることなく、アジア系オリジナルカレーを多数取り揃えている。
 中央線のカレーファンにおすすめだ。

《このブログを書いているときのBGM》
MARIANNE FAITHFULL『BROKEN ENGLISH』(1979)
 佳麗でキュート、美しい歌声でミック・ジャガーのパートナー。いうことなしだった彼女がスキャンダルにまみれスターダムから転落、長い沈黙の後カムバックしたときの作品。そのとき、かつての美声は、彼女の人生そのもののハスキーでブルージーなものに変貌していた。キーボードはスティーヴ・ウィンウッドが担当。
http://www.youtube.com/watch?v=NVCKdMpOXYw
 タイトルナンバーの12インチシングル別バージョン。最初聴いたときはショックだった。とにかくアルバムは名盤。

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!



2013年3月2~8日

 南インド、ケララのスパイス農園見学ツアー。その主な目的地をご紹介しよう。いずれも、あまり一般の日本人観光客には知られていない。しかし、風光明媚でナイスな場所ばかりである。

 ケララ州の古都コーチンから130キロメートルほど。インドの車と道路だと4時間ぐらいか。標高1600メートルの軽井沢的高原町がムンナールMUNNARだ。

 ケララというとココナッツの木の生えたビーチやバックウォーターなど、海や水のイメージが強いかもしれない。が、西ガーツ山脈という大きな山岳地の南端にも引っかかり、山間部の暮らしや文化も充実している。

 ムンナールはそんな高原の町の1つで、イギリス植民地時代は避暑地にもなったところ。イギリスコロニアル風のバンガローが今も残り、ニルギリ紅茶やインドコーヒーの農園も盛んだ。

 自然が豊かな場所なのでスパイス農園も多い。特に高価で貴重なカルダモン農園は見ものだろう。ほかにもブラック・ペパーやターメリック、トウガラシ、クローブ、シナモンなどの栽培育成状態がライヴでチェックできるはずだ。

 インドの山地はスパイスのほか、色とりどりな花も咲き乱れ、目やハートの保養にもピッタリ。西洋人を顧客にした高級リゾートも点在し、アーユルヴェーダのトリートメントセンターもある。

 南インドのローカルな魅力に満ちた場所といえる。スパイス農園をメインにいろいろ見て回ろうと思っている。

イメージ 1
 コーチンのスパイス屋。後ろに立ち並ぶ各種マサラの大きなビン。正面は左からクローブ、シナモン・スティック、メースの各ホール・スパイス。これらはガラム・マサラにする以外、基本的にホール・スパイスとして使われる。「インドツアー2010」より。

★画面をクリックすると大きくなって見やすい。
イメージ 2

 食のプロにおすすめのスパイス農園視察ツアー。
 申し込み締め切りは新年10日。
 お早めにどうぞ。

★申込みと問い合わせ先
インダスインターナショナル株式会社
担当:ミシュラ、花崎
E-mail: industokyo@indus-international.com
URL: http://www.indus-international.com

★問い合わせ先 
「サザンスパイス」渡辺
私の個人サイト http://www5e.biglobe.ne.jp/~masala/
クッキングスタジオ「サザンスパイス」の公式サイト http://southern-spice.com/ 
からメールで連絡を。


《このブログを書いているときのBGM》
FELA KUTI『YELLOW FEVER』(1976)
 直訳すれば黄熱病という名前だが、実際は白人至上主義を粉砕しようという強烈なメッセージが込められている、フェラ・クティの代表作の1つ。ひたすら飛ばされる。
http://www.youtube.com/watch?v=FIRXNA3Eofs
 寒い東京の朝に聴いてもシビレる熱くてクールなビート。

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!



↑このページのトップヘ