ひさしぶりに、ちょっと専門的な話。

 今も昔も、日本のインド料理ファンの頭を悩ませる難問の1つに「ビリヤニとプラオの違いはどこにあるか」というのがある。

 ビリヤニとプラオは、どちらも、インド亜大陸ならではのスパイシーな「炊き込みご飯」だ。

 ビリヤニの多くは「重ね蒸し」という手法で調理される。幅広な大鍋にカレーを敷き詰め、上からパスタのようにかたゆでしたバスマティライスをかぶせ、密閉して蒸し上げる。「ダム・ビリヤニ」というのがこれで、日本で食べられるビリヤニの多くが、このスタイルをとっている。 
 
 プラオは、バスマティライス以外も含め、いろいろなコメでつくられる。調理法も、洗った生米をスパイスやハーブ、ときに具材の肉や野菜とともにボイルして仕上げる。日本の炊き込みご飯と同じやり方だ。

 これだとビリヤニとプラオはまったく違うとすぐに気づくが、ビリヤニの中には、プラオと同じくナマゴメからボイルして仕上げるものがあり、これが話をややこしくする。「ボイルド・ビリヤニ」と呼ばれるものだが、プラオにもまったく同じ調理法、ほとんど同じ味わいのものがあるのだ。

 プラオに繋がるあいまいさのある「ボイルド・ビリヤニ」は、日本であまり人気がない。インターネット上で、「ボイルド・ビリヤニ」はビリヤニではない、と断言している人たちもいる。

 私はどうかといえば、「ボイルド・ビリヤニ」擁護派である。
 ビリヤニ全体が同じ色味で「ビリヤニらしくない」見た目の「ボイルド・ビリヤニ」だが、ライスの一粒ずつにスパイシーな風味が浸み込んで「ダム・ビリヤニ」とはちょっと異なるおいしさなのだ。

 それでは、同じ素材で同じ「炊き込み」ご飯をつくっても、「ボイルド・ビリヤニ」と「プラオ」に分かれる要因は何か?

 それは次回、書くことにする。

150923 THALAPPAKATTI chicken  biryani

















 南インド、タミルの「ディンディガル・タラパッカティ・チキン・ビリヤニ」。
 「ボイルド・ビリヤニ」の傑作。私の「インド食い倒れツアー」でも、チェンナイに行くと、この店に立ち寄ることが多い。

《このブログを書いているときのBGM》
JOHNNY  THUNDERS『SO  ALONE』(1978年)
1991年4月23日にニューオリンズで亡くなったジョニー。
今でも大好きだ。

https://www.youtube.com/watch?v=YgsC5aDDAew


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